無敗の2冠馬誕生か、それとも――。

 5月26日、東京競馬場で3歳クラシックの最高峰「日本ダービー(GⅠ、芝2400m)」が、午後3時40分に発走する。2021年に誕生したサラブレッド7906頭の頂点が決まる、一生に一度の特別な舞台。競馬に携わるすべてのホースマン憧れのレースが、刻一刻と迫っている。

 精鋭17頭が府中の舞台に名を連ねた。近年、ネット配信を中心にドバイワールドカップデー、米クラシック、凱旋門賞など、海外競馬を広く国内で視聴できたり、馬券なども購入することが可能になった。

 その環境は日本だけでなく、欧州の競馬界も同じだ。世界のあらゆる競馬情報を専門的に扱う日刊紙『Thoroughbred Daily News』の欧州版は、26日に開催する日本ダービーを特集。「”ミラノ”が東京優駿でライバルたちを蹴散らす」と銘打たれたタイトルには、クラシック一冠目の皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)を制し、無傷の4連勝でダービー制覇を狙うジャスティンミラノ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)を本命視している。
  記事では「ヤスオ・トモミチ厩舎のこの馬は3戦全勝。昨年11月に、このコース(東京)で2000mのデビュー戦、そして2戦目の重賞(GⅢ・共同通信杯)を勝っている」と指摘。左回りの相性の良さも併せて強調している。

 さらに、「日本の2000ギニー(皐月賞)を優勝したキズナ産駒のジャスティンミラノは、ケイタ・トサキ(戸崎圭太)の見事な手綱さばきで完璧な走りを見せている」と断言。前走は超ハイペースのなか、4コーナー4番手で進み好走。最後は1分57秒1という異次元のコースレコードを叩き出した強さに注目しながら、戸崎騎手の悲願のダービー戴冠に期待を寄せている。「無敗のダービー馬」誕生に期待を抱いているメディアは、他にもある。1894年に創刊された北アメリカの老舗競馬専門紙『The Daily Racing Form』も、「日本ダービーはジャスティンミラノが有利だ」と予想。対抗馬として同紙は、ジャスティンミラノと同じく3戦無敗のシックスペンス(牡3歳/美浦・国枝栄厩舎)と、07年のウオッカ以来となる牝馬のダービーVを狙うレガレイラ(美浦・木村哲也厩舎)を挙げている。

 記事では「無敗のジャスティンミラノとシックスペンスは、日本ダービーに向けて魅力的な資格を持っている」と記し、ともに終いの切れ味を高く評価。『Thoroughbred Daily News』と同様に、ジャスティンミラノの東京コース2戦2勝という好データを見逃しておらず、「キズナ産駒のこの牡馬にとって、距離は問題にならないだろう」と400mの距離延長を楽観視している。
  一方で同紙は、昨年12月のホープフルステークス(GⅠ、中山・芝2000m)を制したレガレイラを「牝馬でありながら、大きな脅威」と強く警戒。他にも、「レース戦略は結果に大きな影響を及ぼす。特にジャスティンミラノが追いかけるような展開になれば、なおさらだ」と論じ、主役をかき乱すような波乱ペースに含みを持たせた。

 普段のGⅠとは、ひと味もふた味も違う独特な雰囲気に包まれる日本ダービー。1984年のグレード制導入後、無敗で皐月賞馬となったのは10頭。そのうち、無敗のまま日本ダービーも勝利したのは、84年のシンボリルドルフ、91年のトウカイテイオー、92年のミホノブルボン、05年のディープインパクト、20年のコントレイルの5頭のみ。ジャスティンミラノは世代最強馬として、ダービーの称号を掴み取ることができるだろうか。

 運命の大一番。先頭でゴールを駆け抜けるのは、はたして――。

構成●THE DIGEST編集部

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