今季リーグアンを2位で終え、来季のチャンピオンズ・リーグ(CL)出場権を獲得したモナコにおいて、加入2年目の南野拓実は大きな貢献を果たした。

 チームのスタイルに馴染めずに苦しんだ昨季とは対照的に、アディ・ヒュッター監督の下で持ち味を発揮した背番号18は、リーグ戦30試合出場(公式戦31試合)9得点・6アシストを記録。ウィサム・ベン・イェデルに次ぐチーム2番目のゴール数をマークした日本人アタッカーは、シーズン中に幾度かリーグや現地メディアによる「ベストイレブン」に選定されてきた。

 そしてシーズンを終えた今、フランスの王手スポーツ紙『L’EQUIPE』が発表した「今季のリーグアン・ベストイレブン」にも、南野の名が挙げられた。これには、チームメイトのマゲヌス・アクリウシェ、アレクサンドル・ゴロビンも選出されている。ベストイレブン(+ベスト監督)の顔ぶれは以下の通り。

【動画】文字通りの死闘…インドネシア〇PK11-10●韓国で決着したハイライト◇GK
ジャンルイジ・ドンナルンマ(パリ・サンジェルマン)
◇DF
アシュラフ・ハキミ(パリSG)
ダンチ(ニース)
メルビン・バー(ニース)
リリアン・ブラシエ(ブレスト)
◇MF
南野拓実(モナコ)
アレクサンドル・ゴロビン(モナコ)
マゲネス・アクリウシェ(モナコ)
ロマン・デル・カスティヨ(ブレスト)
ピエール・レース=メルー(ブレスト)
◇FW
キリアン・エムバペ(パリSG)
◇監督
ルイス・エンリケ(パリSG)

 これは同メディアが毎試合の採点(10点満点)の平均値によるものだが、南野はレース=メルーに次ぐ「6.08」という高い評価で、これにアクリウシェ(6.05)、ゴロビン(6.00)と続く。

 クラブは公式サイトで、南野の選出に対して「ストラスブール、ナント、モンペリエ、メス、レンヌ、そしてクレルモンとの試合で決定的な活躍を見せた南野は、特にランス戦では最後の数秒(後半アディショナルタイム)で素晴らしいパフォーマンスとゴールを決め、チームに大きな貢献を果たした。その結果、2月のMVPに選ばれている。この勝利は非常に重要で、ここからモナコは8試合連続無敗のスタートを切り、これがCL復帰に繋がった」と綴っている。

 ちなみに、これに先駆けてUNFP(プロサッカー選手連合)による今季のリーグ・ベストイレブンも発表されたが、意外にもモナコからはひとりも選出されず、ヒュッター監督は「ゴロビン、南野、(ユスフ・)フォファナ、アクリウシュの今季のプレーを見て、誰もベストイレブンに入っていないのは理解できない。シーズンを2位で終え、リーグで最も見事なサッカーを披露しているのに、誰も評価されないのは驚きだ」と不満を露わにしていた。

 これを受け、モナコのクラブ専門サイト『LA DIAGONALE』は、「UNFPトロフィーのベストイレブンにモナコの選手が選ばれなかったことは大きな波紋を呼んだが、『L’ÉQUIPE』紙はこれを“修正”した」と伝えている。
  もっとも、モナコの選手を評価しているのは『L’ÉQUIPE』紙だけではなく、サッカー専門サイト『maxifoot.fr』も独自の指標でベストプレーヤー23人を絞り込み、これにウィルフリード・シンゴ、フォファナ、そして南野を選定。さらに、この中から4-3-3、4-4-2の異なるシステムに合う選手でそれぞれのベストイレブンを構成し、南野は後者の右サイドハーフとして、左のエムバペとともに両翼に位置付けられた。
  このように今季の働きぶりを称賛された29歳だが、別のメディアではそれ以前の“貢献”にも脚光が当てられている。それはリバプール時代のもので、サッカー専門サイト『TEAMTALK』がユルゲン・クロップ監督政権下で「リバプールに利益をもたらした12選手」と題した記事において、比較的安価でチームに加入し、その後多くの移籍金を残した選手を選定したが、南野もそれに含まれている。

「南野拓実は、レッドブル・ザルツブルクでプレーしていた時に、CLでリバプールと対戦し、その際に相手の関心を引いた。彼のリリース条項がわずか725万ポンド(約15億円)で発動できることに気づいたリバプールは、2020年1月にこの攻撃的MFを獲得。しかし、南野は新しいクラブでの最初の6か月間では得点できず、ステップアップには十分でないと感じられた」

「加入から約1年後、彼はサウサンプトンへレンタル移籍し、再びその潜在能力を発揮し始めた。その後はリバプールで、全コンペティションを通して10ゴールを挙げるシーズン(2021-22)を過ごし、2022年6月に約1300万ポンド(約26億円)でモナコに移籍することを決めた」

 単純に移籍金の差額でも十分に利益をもたらした南野。それから2年が経ち、リーグアンを代表する選手のひとりとして勲章を得るまでになっている。着実に進化を遂げ続けているアタッカーの評価と価値は今後、さらに上昇し続けるのかが興味深いところだ。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】今季9ゴール目は狙い澄ましたスーパーゴール! 南野拓実のクレルモン戦の先制弾
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