日本の若手女子テニス選手が世界に出ていくのを支援する一般社団法人『Japan Women's Tennis Top50 Club(JWT50)』が、今年も国内ITFツアーの開催に力を注いでいる。今週はその第2戦が福井県で行なわれ、日本勢が大活躍を見せた。

 JWT50とは、日本女子テニス界のレジェンドである伊達公子氏をはじめ、世界ランキング50位以内をマークした杉山愛氏、神尾米氏らの有志によって2022年に創設された一般社団法人だ。若手の育成を目的に昨年から日本各地でITFツアーを開催し、今年も「大東建託オープン」として6つのW15(賞金総額15,000ドル)大会を主催する。

 ITFツアーは国際テニス大会のカテゴリーの中で、WTAツアーの下部ツアーに当たり、特に賞金総額15,000ドル大会は最も低いグレードとあって、これから世界を目指す新鋭たちの登竜門と言える。ランキングポイントがない、あるいは少ないジュニアや若手たちは、皆このW15からスタートするのだが、出場できる保証がないのにいきなり海外の大会には挑みにくい。国内に数多くのW15大会を整備することが、若手のチャレンジを促進する上で不可欠という考えから、JWT50は「大東建託オープン」を主催している。

 その第2戦である「W15福井 大東建託オープンsupported by JWT50」が、5月21日から福井県運動公園県営テニス場(福井市)で行なわれ、26日のシングルス決勝をもって幕を閉じた。
  今大会のベスト4は日本勢が独占する大活躍。準決勝では第1シードで18歳の虫賀心央(むしか みお)が、亜細亜大学を卒業してプロ1年目の山崎郁美に1-6、7-5、7-6(6)の大激戦の末に逆転勝ち。もう一方では第3シードで34歳のベテラン秋田史帆が、前週の富山大会でITF初優勝を飾ったばかりの17歳、西村佳世を6-2、4-6、6-1で振り切り、決勝にコマを進めた。

 共に木曽川ローンテニスクラブ出身の18歳と34歳が決勝で対決。試合は序盤から荒れた展開となり、第1セットは互いに4つずつブレークを奪い合って5-5まで競り合う。そこで虫賀がきっちりキープすると、続く秋田のサービスをブレークして第1セットを7-5で押さえた。

 第2セットも互いにサービスダウンからのスタートとなったが、途中で持ち直した虫賀が1ブレーク差のリードで5-3とサービングフォーザマッチを迎える。ここは取り切れずに5-4とされるが、秋田のサービスを落ち着いてブレークし直し、6-4で追撃を振り切った。試合時間は1時間34分。

 虫賀はこれがITFツアー初タイトル。これまでの最高成績は昨年5月のW25軽井沢のベスト4だったが、初の決勝進出で一気に優勝まで突っ走った。双子の姉、愛央(まお)は昨年末にITF初優勝を遂げているが、すぐに並んだ心央。今後の飛躍を楽しみにしたい。

 なお、前日行なわれたダブルス決勝は、第1シードの阿部宏美/永田杏里がキム・ユジン/リン・ファンアンを6-4、6-0で下して優勝。前週の富山大会に続く2週連続Vで、このペアとして通算3勝目となった。

構成●スマッシュ編集部

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