“人間”と“猿”、地球の支配者の劇的な逆転劇を描いた「猿の惑星」シリーズの完全新作となる映画「猿の惑星/キングダム」が、5月10日(金)に日米同時公開される。同作は、「ゼルダの伝説」実写映画の監督にも抜てきされたウェス・ボールと、「アバター」シリーズを手掛けたVFXスタジオ・WETAがタッグを組み、現在から300年後、支配者が人間から猿へと完全に移り変わった世界を舞台に、猿と人間の“共存”か人間の“絶滅”かをかけた新たな衝突が描かれる。そんな今作を幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が一足先に試写会で視聴し、独自の視点で魅力を紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
■新たに開く「猿の惑星」の扉
「あの『猿の惑星』の新作にまさか出会えるなんて!長生きはしてみるものだな」と感慨深くなっているオールドファンも、周囲の反応や評判を知って「そんなに歴史のあるすごい作品なのか、ぜひ見てみよう」とこれから「猿の惑星」の扉を開こうとする次世代の映画ファンも、それぞれ多数いることだろう。
個人的には両方ともいいなと思うし、憧れる。なぜなら自分の世代はその谷間というか、まあ世代のせいにしてもいけないのだが、ようするに「『猿の惑星』はもう古い」と、見ないくせに分かっていたような気分で気取っていたのが若いころの自分だったのである。初めて見たのは、ある程度「映画全体」(物語、役者、カメラワーク、音楽、音響効果)に関心が向くようになってからのことで、初期シリーズのうち、複数本がかかる上映会だったと記憶する。「勉強がてら、昔のSFものでも見ておこうか。どうせ素朴なものだろうがね」という気分もちょっとはあったのだが、そんな感触は数分で吹っ飛んだ。「面白い! 引き込まれる! 不気味だ!」と。
個人的にはこの「不気味だ!」が重要だった。「今は映画の世界の出来事かもしれないが、いつこんな世の中になってもおかしくないぞ」と思わせてくれる、なんともいえない引っかかりが、ビタースウィートな余韻を残した。動物園に行っても、エイプ(類人猿)に対する見方が変わった。
それから時は流れ、今、われわれ人類は「猿の惑星/キングダム」と共にある。「猿の惑星」のリブート化は2011から始まり、2017年にかけて3作発表された。同3作目の「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」から早くも7年がたってしまったわけだが、物語上の設定は今から300年も後のことになる。人類は退化し、野生動物となり、言語なるものも失われて、今やエイプたちが地球を支配している。
彼らは英語でしゃべり、高い運動能力も知能もある。築こうとしているのは「キングダム」(王国)だ。それは人間を敵視する(といっていいだろう)大ボスのプロキシマス・シーザー(CV:ケビン・デュランド)が絶対権力を持つ場所。プロキシマスの言うことは絶対であり、とりあえず彼の前でヘコヘコしていれば生きていく上でかなり楽だ。が、そこに疑問を持つ、より知的な者も中にはいる。年老いたオランウータンから、猿と人間の共存についての昔話を聞かされたノア(CV:オーウェン・ティーグ)が感じたのは、「これでいいのだろうか? もっと仲良くできないのか?」ということだ。そこにやってきたのが、人間の女性であるノヴァ(フレイヤ・アーラン)。ノアは、ノヴァと交流することによって、ますますキングダムの裏にあるプロキシマスの「独裁体制」「自分勝手さ」「せこさ」に耐えられなくなる。
■独特な設定だが地に足のついた物語
プロキシマスにとっては「民の裏切り」であり、ノアにとっては「真実の目覚め」であり、ノヴァに関しては「未来の人類の動きを担う鍵」を握っている状態。そのエモーションの重なりがこの映画に深みを与える。そして私はここに、「あまりにも独創的な物語設定ではあるけれど、核となっているのはこれ、日常の人間関係によくあることではないか」と強く思った。たまらなくアンユージュアルでありそうでいながら、しっかりと地に足をつけている。「海」「水」「空」「崖」など、大自然の怖さが実にクールに描かれているところも、プロキシマスの「熱しやすさ」やノアの「熱血漢」ぶりとコントラストを描いている。
ノアに扮するのは映画「To Leslie トゥ・レスリー」のオーウェン・ティーグ。ノヴァはドラマ「ウィッチャー」シリーズのフレイヤ・アーラン、プロキシマスは押井守監督の「ガルム・ウォーズ」でも主要キャストを務めたケビン・デュランドが演じる。監督は「メイズ・ランナー」シリーズのウェス・ボールで、「猿の惑星」シリーズを手掛けるのは今回が初めてとのこと。
ちなみに日本版声優でプロキシマスの声を担当するのは竹内力だとか。本国版だけでなく吹替版もかなりのインパクトがありそうだ。
映画「猿の惑星/キングダム」は5月10日(金)に全国ロードショー。「猿の惑星」過去シリーズはディズニープラスで配信中。
◆文=原田和典
<猿の惑星/キングダム>猿と人間の“共存”か人間の“絶滅”か…独創的な設定に潜む日常の人間関係とのつながり
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