各陣営の思惑がカギを握る今年の新潟記念

新潟記念2023

[GⅢ新潟記念=2023年9月3日(日曜)3歳上、新潟競馬場・芝外2000メートル]

 過去10年で3連単10万円超えは実に6回。夏の新潟開催を締めくくるハンデ戦は、開催最終週のトラックバイアスに加え、先々を見据える出走馬だけでなく「サマー2000シリーズ最終戦」という位置づけもあり、波乱傾向の強いレースとなっている。陣営の勝負度合いも多様なだけに〝真の目的〟をどこに置くかを探るのも重要なアプローチとなろう。

 まずはサマーシリーズ制覇(シリーズ1勝以上、13ポイント以上)の可能性が唯一あるマイネルウィルトス(57キロ=牡7・宮)に注目したい。1年ぶりの実戦となった前走のGⅢ函館記念で4着(3ポイント)と上々の内容を披露。重賞は未勝利も3度の2着があるだけにここでも底力は上位だ。逆転での戴冠には1着が絶対条件となるが、長期休養明けを叩いての上積みを見込めばチャンスは十分あるだろう

 秋の飛躍を見据える組では関東馬2騎が強力。ノッキングポイント(54キロ=牡3・木村)はGⅢ毎日杯2着→GⅠ日本ダービー5着と世代上位の走りを見せてきた。半妹チェルヴィニアが今夏の新潟未勝利で6馬身差の衝撃Vを決めており、兄も秋に向けて弾みをつける重賞タイトルを手にしたいところだ。一方、サリエラ(55・5キロ=牝4・国枝)はわずかキャリア5戦とはいえローズS2着、目黒記念3着とGⅡ2戦の中身は濃い。1週前追いの後にはザ石のアクシデントもあったが、新潟入りして調整しているアドバンテージを生かしたい。なお、ノッキングポイントが勝てば2018年ブラストワンピース以来の3歳馬V、サリエラが勝てば13年コスモネモシン以来の牝馬Vとなる。

 プラダリア(牡4・池添)はドウデュース、イクイノックス世代のダービー5着馬。なかなか勝ち切れないレースは続くものの、GⅠやGⅡで強敵相手にもまれてきた経験は大きな武器だ。今回のハンデは57キロとやや背負わされる格好にはなるものの、この相手なら秋の大舞台に向けて力を示したいところだ。

 過去10年で4勝を挙げる友道厩舎は昨年の3頭出しに続いて今年も2頭を送り出す。ユーキャンスマイル(58キロ=牡8)は19年の当レース覇者で昨年の2着馬。その後は掲示板入りできていないとはいえGⅡ戦でも大きく負けておらず、実績ある舞台で浮上の可能性も。一方のブラヴァス(57キロ)は20年の当レース覇者。いずれかが勝てばナリタクリスタル(10、11年)に続く2頭目(グレード制導入の1984年以降)の新潟記念2勝馬となる。

 今回と同じ外回りコースの実績こそないものの、新潟では4戦して2勝、2着2回とパーフェクト連対中のバラジ(56キロ=牡4・鹿戸)、今年のGⅢ新潟大賞典3着馬で当地ではオープン勝ちの実績もあるイクスプロージョン(57キロ=牡5・杉山晴)らもハンデを味方に虎視眈々と上位進出を狙う。

著者:東スポ競馬編集部