先月1日付で、藤沢市消防局の局長に前副局長の簗瀬(やなせ)欣二氏(57)が就任した。超高齢化社会の進展に伴う救急出動件数の増加やDX(デジタルトランスフォーメーション)化など、消防行政でも時代に沿った課題が山積する。トップの仕事観や意気込みを聞いた。(聞き手・佐藤弦也)

――就任の感想は。

「責任を伴う立場なので、重圧で身の引き締まる思いです。前任や先人が築いてきた藤沢消防の強みを生かしながら、新しいことにも取り組んでいきたい」

――消防行政が抱える課題については。

「行政全般に言えることですが、人口減と超高齢化社会への対応です。藤沢市の救急出動件数は右肩上がりに増え続けており、昨年1年間で2万8千件を超え、搬送人員とともに過去最多でした。時代の要請を踏まえ、今後救急隊の増隊や適正配置を考えていく必要があります」

――特に力を入れて取り組みたいことは。

「消防のDX化を強力に進めたいと考えています。藤沢市消防局では昨年10月から救急現場で携帯端末を使って救急隊と医療機関が情報共有する『傷病者情報管理システム』を導入しました。迅速で的確な情報伝達が可能になり、また救急隊の事務作業の負担軽減により効率化を図ることもできます。教育体制を含めたDX化のメリットを生かしていきたい」

――仕事の信条は。

「街と人を守る消防の仕事に『情熱と誇り』を持つことです。次代を担う若い職員にもよく伝えています」

――今後の抱負は。

「人・機械・水が『消防の3要素』と言われますが、特に注力したいのがあらゆる根幹である人です。職員間で自由闊達に意見が言い合える風土を育み、心理的安全性の高い職場を実現しながら魅力的な藤沢消防を作っていきたいと思います」