127,000,000,000

127,000,000(千)

127,000(百万)

1270(億)

127(十億)

これらはすべて同じ数であり、量として捉えるときはもちろん、表記する際もこの中から自由に選ぶことができます。瞬時に適切な単位を「選ぶ」ことができる人は、数字センスのある人と言ってよいのではないでしょうか。

単位を変換して、数字をわかりやすく

さらに、数字センスのある人は、扱いやすいものを選ぶという特徴があります

たとえば、日本を代表する企業であるトヨタ自動車の2021年4月1日から2022年3月31日までの営業収益(売上)は 31兆3795億円であり、営業利益は2兆9956億円です。

しかし、異なる業界の人や学生にとっては、この数字はあまりに大きいために意味づけが難しいこともあるかもしれません。そこで単位を変換することで、扱いやすい数字を選んで思考やコミュニケーションに使うこともテクニックのひとつです。

この期のトヨタ自動車の従業員数は37万2817人とのこと。そこで一人あたりの数字に変換すると次のようになります。

一人あたり営業収益(売上) 8400(万円/従業員)

一人あたり営業利益  800(万円/従業員)

一人の従業員が1年間で稼いだ営業利益はざっと800万円であることがひとめでわかります。だいぶ手触り感があり扱いやすい数字になり、学生でもその意味は理解できるでしょう。これもまた単位を変換することで扱いやすい数字を作った例と言えます。

あなたがイメージする「数字センスのある人」はまさにこのようなことがパッとできる人のことを指すのではないでしょうか。そしてこの変換という行為も、まさにいくつかある単位の中から選んだことにほかなりません

私はセンスとは選ぶものに表れると思っています。服のセンスがいい人は、素敵な服を選んでいます。会話のセンスがいい人は、TPOに合わせて適切な言葉を選んでいます。数字センスとは、選ぶ能力なのです。

このように数字センスを鍛えるためのポイントは、実は数字そのものにはありません。計算力もほとんど必要ありません。数字の隣にあるものがカギを握っています

ビジネスパーソンの皆様にはぜひこれからは「数字の隣」を気にしていただき、単位を選ぶことを楽しんでいただきたいと思います。

著者:深沢 真太郎