1つは「落第はしないように自分でコントロールして休め」。無理に学校へ行く必要はないけれども、卒業するために最低限の出席はしておくように、と伝えたそうです。面白いのは2つ目の条件です。それは次のようなものでした。

「学校を休んだ日は、学校に行くより充実した1日を送れ」

冒頭で紹介したように、エジソンも学校に行かなかったことで、家庭学習で実験三昧の日々を過ごしています。

森毅は、条件の「学校に行くより充実した1日」を実践すべく、学校を休んだ日には、昼間は気楽に山へ行って昆虫採集などをしながら、夜はいつもより一生懸命勉強に打ち込んだそうです。本人もこう振り返っています。

「学校ぎらいだが、勉強は好きだったのでよく勉強したことにはなる」

「自由には責任が伴う」と父は伝えたかったのでは、ということも森は書いています。

数学が得意だった森毅は、東京帝国大学理学部数学科へ進学。京都大学の教授となり、数学や教育について多くの著作を出しています。自由に学ぶ姿勢が才能を育んだといえるでしょう。

学校が好きな人でさえも「今日は行きたくないなあ」と思う日があるはず。そんなときは、自由な心持ちで気晴らしをすることで、勉強に改めて向き合うことができるかもしれません。

真山知幸 歴史 『ヤバすぎる!偉人の勉強やり方図鑑』より イラスト:しまだなな

ところで、数学が大好きな森毅でしたが、学校に通っていた頃も、試験の成績はよくありませんでした。その理由は、明日に試験があるとしても「得意な数学だ」と思うと、余裕をかまして探偵小説なんかを夜遅くまで読みふけってしまい、翌日は眠いまま試験にのぞむことに。

当日もさっさと問題を解いて、見直しもしないので、半分近く計算が間違っていて……。どうも「準備せず当日に解けるのがカッコいい」と思っていたそうです。それでも入試には強かったというから、さすがですね。

また、森は「文系一筋」「理系一筋」には否定的で「いろいろ変わったほうが絶対おもしろい」とも。

森毅の学びの言葉
「普段アホやと思っている奴が、意外といいことを言うことがある」

自分に合った勉強法を見つけた偉人たち

本稿では、学校になじめなかった3人に登場してもらいましたが、このように偉人たちは、自分に合ったやり方を見つけ、工夫しながら、自分の知りたいこと、興味あることを思いっきり学びました。

本を読むなどして「独学」を極めた人や、自分で師匠を見つけて教えてもらった人もいます。

『ヤバすぎる!偉人の勉強やり方図鑑』では、好奇心旺盛すぎる偉人たちの勉強のやり方を100人分集めました。

自分が知りたいこと、やってみたいことを身につけるため、自分の目標を達成したり、夢を叶えたりするために、この本を役立ててもらえればと思います。

著者:真山 知幸