西岡:東大では、国語でも、数学でも、社会でも、理科でも、与えられた情報を整理して「言い換える」問題が多いです。大学側がこうした問題を出題する意図には、普段から情報の言い換えができているのかを見極めたいからではないか、というシーンでした。

ちなみに僕も、宇野先生の授業で言い換えを求められた記憶があります。宇野先生に「授業の復習って、どうすればいいですか?」と聞いたときに、「授業後に、白い紙を用意して、そこに先生の言葉を再現できるかどうかチェックしてみるといい」と言われたのを覚えています。

宇野:今でもその指導はしていますね。白紙に授業内容を再現できるのならば、それは授業をしっかりと理解できたということですし、逆に何も書けないのであれば、理解できなかったということでしょう。

東大に合格している生徒は、授業後の10分休憩のうち最初の5分間を、終わった授業の内容を咀嚼する時間に充てている場合が多いです。

それこそ白い紙にキーワードを書いていく、などの勉強法をしています。こうした「言い換え」=「咀嚼」の時間は、確実に頭をよくしてくれるはずです。

社会人になっても役に立つスキル

西岡:ちなみに宇野先生は、もともとキーエンスから転職されて、予備校講師になっていらっしゃいますが、社会人になってからもこのスキルは必要になると言えるのでしょうか?


宇野:私が働いていたのは、そこまで長い期間ではないので、社会人になってからのことを語るのはおこがましいのですが(笑)。

ただ、確実に同じことを求められるとは思います。例えば、上司やクライアントへの相づちの打ち方というのも、先ほどの3つのパターンで説明できます。

パターン1は、「はい」とか「そうですか」などという具合に、ただ相づちを打つパターン。パターン2は、「はい、〇〇ですね」というように、相手の言ったことを復唱するパターン。パターン3は、「それは、こういうことですね」というように、相手の言ったことを自分で言い換えるパターンです。

3つ目のパターンの相づちができている人というのは、相手の話を正しく理解していて、仕事でも活躍できる場合が多いですよね。

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著者:西岡 壱誠