株価暴落の可能性を示唆する報道が、最近は目立つようになった。アメリカ経済の減速懸念がくすぶっており、「Sell in May」(株は5月に売れ)というアノマリーとあいまって、株価は平行線をたどっているように見える。とりわけ、最近は株価高騰を演出した半導体銘柄の割高感が目立っており、業績が良くても、営業利益や業績予想の一部が市場予想を下回ると、時間外取引や翌日の取引で10%を超える「急落」を経験するケースが多い。

その一方で、5月16日には「S&P500」と「ナスダック総合指数」、「ニューヨークダウ平均株価」が揃って史上最高値を更新するなど、株式市場は相変わらず高値圏に張り付いている。株価が大きく上昇して高値止まりしているときには、「適温相場」とか「ゴルディロックス市場」と言われるが、そんな状況が長く続いた後には、何らかの形でバブル崩壊が起こることが多い。

言い換えれば、市場が大きく方向転換するときには、必ずその原因やきっかけがあるはずだ。そこでこれまでのバブル崩壊や株価暴落のきっかけとなった原因に注目し、これからの市場変動に対応する方法を模索してみたい。市場価格急落のメカニズムについて考える。

過去のケースに学ぶ「市場崩壊のきっかけ」とは?

これまでにも株価や為替、貴金属といったマーケットが大きく下落をしたときには、さまざまなきっかけがあった。有名なところでは、1927年(昭和2年)の昭和金融恐慌の原因と言われる、時の片岡大蔵大臣の「失言」がある。まだ公にされていなかった東京渡辺銀行の経営破綻を国会で明かしてしまい、株価が暴落して昭和金融恐慌を招いてしまった。

株価などが暴落する金融危機には、数年にわたって続くものから、わずか数分で終わる瞬間的な市場変動もある。これまでの主な金融危機のきっかけとなった市場急落のケースを年代順に並べてみよう。