ある意味、「等々力バイパス」……。

世田谷南西部の地下にトンネルが

 東京都第二建設事務所は2024年5月20日、世田谷区内の地下で掘り進めていたトンネルのシールドマシンによる掘進が完了したと発表しました。

 このトンネルは世田谷区道や環八通り、玉川通り(国道246号)の地下16-30mを貫きます。全長は約3.2kmです。

 多摩川に近い都立園芸高校の玉川果樹園に設けられた発進地点(発進立坑)から、中間排気施設のある第三京浜の玉川IC付近を経て、玉川通りと首都高3号線の高架が分かれる地点(玉川台広場)に設けられた到達地点(到達立坑)に達して貫通しました。

 といっても、道路のトンネルではありません。これは「谷沢川分水路」と呼ばれる、いわば川のバイパスです。

 谷沢川は世田谷区内の湧き水を水源とし、23区唯一の自然渓谷である「等々力渓谷」を経て多摩川に注ぐ3.7kmの河川です。ゲリラ豪雨なども頻発するなか、流域で道路冠水や家屋の進水などが生じていることから、大雨時の水位上昇を抑える水害対策として2018年から分水路の工事が進められてきました。

 供用後はシールドマシンの掘進方向とは反対に、地形の高低差を利用して水を流し、谷沢川の下流端で合流し、多摩川へと注ぎます。これにより、地上の谷沢川に大規模な改修をすることなく、安全性を向上させるといいます。

 分水路の工事完了は2026年度が予定されています。