海外旅行に行く場合、スマホが使える状況でないとなにかと不自由します。かつては空港でモバイルWi-Fiを借りたりすることがありましたが、いまでは各通信会社のサービス内容の改定で、海外でもより安くスマホが使えるようになっています。今回は、海外旅行にオススメのキャリアを紹介します。
かつては高額請求のトラブルもあった
スマートフォン(スマホ)は、ネットの閲覧や電話としての利用はもちろん、カメラ、音楽プレーヤー、さらにはお買い物の決済手段としても、私たちの生活になくてはならない存在になっています。
そして海外旅行においても、QRコードによるモバイル搭乗券の利用、ネットで手配したホテルにチェックインする際の内容確認、また現地でのアクティビティの予約やオンラインチケット購入、UberやGrabといったクルマによる移動サービスの手配など、活躍の場を広げています。
つまり海外旅行においても、国内同様にスマホが使える状況でないと、いろいろ不自由するシーンが出てきているのです。
かつて海外でスマホを利用する場合、定額プランであっても1日最大数千円程度の通信費がかかることが一般的でした。
また日本で契約している通信会社(以下、キャリア)と提携していない現地のキャリアに誤って接続した場合、定額プランが適用されず、非常に高額な料金を請求されるトラブルもありました。
しかし現在は、各キャリアのサービス内容の改定により、海外での利用料金は低廉に、また誤接続によるトラブルもほぼなくなっています。
ただそれでも、海外でのスマホの利用料金については、キャリアごとにかなりの差があるのが現状です。では海外で安心かつリーズナブルにスマホを使うには、どのキャリアのどのプランがおすすめなのでしょうか。
まずイチ推しは「NTTドコモ」のオンライン専用プラン「ahamo(アハモ)」です。
ahamoの基本プランは月々2970円でデータ通信20GBまで、国内通話は5分無料となっていますが、海外でも特別な手続きや追加料金なく、20GBまでデータ通信が利用できます。
利用可能な国・地域は91で、日本人の渡航先の約98%をカバーしているとのことです。現在ほかのキャリアを使っている人で、これから海外にたびたび出かける予定がある人にとって、MNP(電話番号そのままでのキャリア変更)の最有力候補となるでしょう。
ただし最初に海外でデータ通信を利用した日(日本時間)を起算日として15日経過後の日本時間0時以降には、通信速度が最大128kbpsに制限されます。そしてこの制限は帰国まで解除されないため、2週間を超えるような海外旅行を考えている人にとっては要注意です。
現地キャリアの「プリペイドSIM」を使うのも手
一方「楽天モバイル」も、おすすめのキャリアのひとつです。
同社の「最強プラン」には海外での通信「海外ローミング」が含まれており、海外73の国・地域で毎月2GBまでの通信が料金不要となっています。
さらに通話アプリ「Rakuten Link」を使えば日本の電話番号(固定電話/スマホ)との国際電話が無料になるため、海外に同行する友人との連絡もスムーズです。
なお2GBを使い切ると通信速度が最大128kbpsに制限されますが、1GBあたり500円でデータ量を追加できます。この制限は月をまたぐとリセットされ、あらためて2GBまで高速通信が利用可能となります。
渡航先がアメリカ(アメリカ本土、ハワイなど。グアム&サイパンのぞく)の場合は、ソフトバンクの「アメリカ放題」が有利です。
契約プランにかかわらず、アメリカでのデータ通信がデータ量無制限で利用できます。また日本への国際通話、アメリカ国内の通話が無料なのもポイントです。
なおここでご案内したキャリアおよびプラン以外にも、大手各キャリアは海外でスマホが使えるサービスを用意しています。
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ただそうしたプランが割高に感じる人、またふだんMVNO(格安通信会社)を使っているが、サービスが海外での利用に対応していないという人は、どうすればいいでしょうか。
そうした人におすすめなのが、現地のキャリアのプリペイドSIMの利用です。
現在、海外の国際空港の多くでは、到着ロビーに現地キャリアのプリペイドSIMを扱う店舗が軒を連ねており、有効期間とデータ量を自分の滞在期間や利用頻度に合わせ購入できます。とくにアジア圏では、データ量1GBあたりの料金も低廉です。
また店舗によってはSIMの入れ替えから設定など、面倒な作業も引き受けてくれます。
最近は物理的なSIMのほか、スマホ内のチップに契約情報を書き込む「eSIM」を取り扱う現地キャリアも増えており、現地キャリア利用の利便性がさらに高まっています。
このほか、複数の国での利用に対応した「グローバルSIM」も、旅行のスタイルによってはおすすめになりますが、製品の種類が多岐にわたるため、ご自身でお調べいただければと思います。
なお一時人気となった海外対応モバイルWi-Fiは、国内キャリアのサービスの改定が進んだことで、従来ほどのメリットはなくなっています。
一方で荷物が増えること、また海外滞在中に管理しなければならない機器が増えるなどのデメリットもあることから、利用にあたってはそのあたりを十分に考慮すべきでしょう。