「しゃけ」の切り身のぬいぐるみが、ピチピチピチピチ動く……!? SNSでそんな衝撃動画が話題になりました。シュールな姿に驚き戸惑う声が続出しましたが、「見れば見るほど笑えてきた」とじわじわハマる人も。作者は「キモカワ寄りの自覚は十分あるので、気分を害さない程度に楽しく見てもらえていたら」と話しています。(withnews編集部・河原夏季)

まさかの光景に「怖すぎる」「元気出た」

話題になったのは、東京都に住むこびとやさん(@kobitodoll)の投稿です。普段は特殊造形の仕事に携わっていますが、趣味で人形用小物やぬいぐるみを作っています。

5月上旬、Xに鮭(サケ)の切り身のぬいぐるみがピチピチと跳ねて「仲良く遊ぶ」動画を投稿すると、4.5万を超える「いいね」がつきました。

まさかの光景に「怖すぎる」と戸惑う人もいましたが、「かわいい」「元気出た」「初見きもちわる!!って思ったけど見れば見るほど笑えてきた」「KIRIMIちゃん実写化」「絶妙にキモくて好きwww」と絶賛する声が集まっています。

動く仕組みは?

このぬいぐるみは「荒ぶるしゃけ」。ぬいぐるみの中には、ネコのおもちゃ用のギミックパーツが内蔵されているそうです。USBケーブルにつなげて充電できます。

作者のこびとやさんは、「家にある機材で生地を切り出し、一枚一枚模様をエンボス加工し、せっせと縫ったり綿を詰めたりして作っています」と話します。

こだわりは、「ギミックの硬さを感じさせないくらいの肉付きにした点と、充電ポートの開口部をファスナーにせず、パッと見では目立たないようにした点」です。

全長はおよそ25cm。試作には3日ほどかかりました。サイズ違いで「親しゃけ」「子しゃけ」「ミニしゃけ」を展開しています。

誰も作っていない「変なもの」を

元々ぬいぐるみや食べ物をモチーフにしたグッズが好きで集めていたという、こびとやさん。しかし、「市販の商品だと『リアルさ』や『かわいがりやすさ』のバランスが悪い」と感じていました。

「重かったり、硬かったりするとかわいがりにくい」ため、リアルで気軽に遊べるぬいぐるみを自身で制作しました。

ちょうどエンボス加工にハマり、その技術を使ったぬいぐるみを作りたいと思ったことから、「一番その表現がしっくり来るモチーフ」として大好きな鮭を選んだそうです。

投稿には「気持ち悪い」といったコメントも寄せられましたが、その反応も想定済みでした。

「私は行儀が悪い・汚い・痛いといったものではない『ポップな気持ち悪さ』のような表現や変わったものが好きなので、モノによっては見る人を選ぶんだろうなと思います」とこびとやさん。

もちろんかわいい動物や食べ物モチーフも好きですが、「自分で作るものは他の誰かが作ってくれない変なものに偏りがち」なのだそうです。

「キモカワ寄りの自覚は十分あるので、気分を害さない程度に楽しく見てもらえていたらいいなぁと思いました」

「しゃけ」の〝授乳〟シーン投稿も

実は昨年11月にも、「母親しゃけ」が「赤ちゃんしゃけ」たちに〝授乳〟する様子を「しゃけぐるみ」で表現した投稿が話題になりました。

「センスが大好きすぎる」「何この独特の世界観」というコメントが寄せられ、10万いいねがつきました。

再び「しゃけぐるみ」が注目されたことに、こびとやさんは「みんなホントにしゃけ好きねー!?」と感じたそうです。

「鮭はそのまま焼いても、生で食べても、フレークや鮭とばなどになってもおいしく、かつ見た目もかわいい、愛されし存在」だと話します。

「私はビジュアル的には切り身の姿が一番好きです。ぬいぐるみにしてみたら、手にしっくりくる形状だったので、そのあたりも『やるな…!』と思いました」

今後については、「一生『なくても誰も困らないけど、あるとちょっとうれしい』『キモいけど二度見すると愛着がわいてくる』ような作品を楽しく作って、食べていくのが目標です」と話しています。