新潟、長野両県と沿線自治体、JR西日本などでつくる大糸線活性化協議会は8日、糸魚川駅(糸魚川市)とJR大糸線の各駅を結ぶバスを運行すると決めた。糸魚川駅で北陸新幹線と大糸線の接続が悪い時間帯に走らせて、乗客の利便性を向上させるとともに、将来の大糸線の利用促進につなげるという。大糸線は利用者数の低迷が課題となっており、JR西日本幹部は利用の促進に「相当な覚悟」で臨むと説明している。

 首長らが出席した同協議会総会で決めた。糸魚川駅には現在、1日に10本以上の新幹線が停車する。ただ一部は大糸線との接続がなく、利用客にとっては不便だった。そこで6月〜来年3月、白馬駅(長野県)までの各駅に止まるバスを運行、利便性を高めて誘客につなげようと考えた。

 バスは一日4往復を予定。利用状況を調べ、新幹線の敦賀(福井県)への延伸効果や大糸線の利用ニーズの把握に生かすという。事業費は約1億2千万円。新潟県と糸魚川市、長野県と同県の小谷村、白馬村、大町市、JR西日本の負担金や国の補助金などでまかなう。

 協議会長の米田徹・糸魚川市長は「鉄路の確保を第一義に考えているので、(今回の取り組みで)そういう方向にもっていければ」と期待感を示した。

 JR西日本は、大糸線について「地域の未来に資する持続可能な路線の方策実現」の議論も必要との考え。「方策」には三セク化などを含むとされる。JR西日本の漆原健金沢支社長は「敦賀開業を最大の契機ととらえ、相当な覚悟をもってバス事業に取り組みたい。結果や振り返りを踏まえ、方策について具体的な議論を深めていければと考えている」などと話した。

 大糸線の糸魚川―南小谷間約35キロの2022年度の「輸送密度」(1キロあたりの1日平均利用者数)は108人。ピークだった1992年度の1割未満と厳しい状況が続いている。(北沢祐生)