民間有識者らでつくる人口戦略会議(議長=三村明夫・日本製鉄名誉会長)が4月に公表した全国自治体の持続可能性の分析結果をめぐり、三重県伊賀市の岡本栄市長は9日、若年女性人口の減少率が指標とされたことについて「子供を産めばいいというようで、女性に対して失礼という気がする」との見方を示した。

 会議は、国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口をもとに分析。2020〜50年の30年間で、20〜39歳の若年女性人口が50%以上減る自治体を「消滅可能性自治体」とした。伊賀市は消滅可能性自治体に分類されなかったが、50年に若年女性人口が45・9%減るとされ、自然減と社会減の対策が必要だと指摘された。

 岡本市長はこの日の定例会見で、分析指標について「昔、どこかの大臣で(女性は)子供を産む道具(機械)みたいに言った人がいたが、それに近いニュアンスを感じた」と指摘。子育て世帯の経済的負担を減らす市の取り組みを挙げ、「自然増だけでなく、社会増もある。取り巻く環境がよければ人口は増える。今後も子育て施策を充実させていく」と述べた。

 一方、名張市は、2014年の日本創成会議の分析では「消滅可能性都市」に含まれていたが、今回は若年女性人口が7・2ポイント上がって48・2%減となり、基準を脱した。北川裕之市長は朝日新聞の取材に対し「人口減が止まっているわけではない」としたうえで、「魅力的な街づくりの競争はすべきだが、財政力の格差が子育て支援策の格差になるのはおかしい。国が責任を持って財源を投入し、東京一極集中も解消すべきだ」とし、会議の分析は「それを考えるきっかけにはなる」と話した。(小西孝司)