◇米ツアー見聞録

 2日、全米オープン選手権を主催する全米ゴルフ協会(USGA)が、6月13日にノースカロライナ州のパインハーストNO・2で開幕する今年の全米オープンにタイガー・ウッズ(米国)を「特別招待」すると発表した。「今年も4大メジャーの出場を目指す」と目標を語っていたウッズだが、実はこの全米オープンは2000、02、08年と3度の大会覇者ながらも出場資格は保有していなかった。

 メジャー4大会はそれぞれ主催が異なり、出場資格も違う。マスターズ・トーナメントと全米プロ選手権は歴代チャンピオンが生涯の出場権を獲得する。一方、全英オープンは60歳までと年齢制限つき。しかし、この全米オープンの勝者は10年間の出場権を得るだけ。ウッズは19年のマスターズ勝者として5年間の出場権を得たが23年に終了していたというわけだ。

 「全米オープンは本当に特別な存在で、自分のキャリアを確立してきた大会」とウッズはコメントし、その招待を受託した。ウッズの世界ランキングは5日現在で801位だが、USGAは「ウッズ抜きで全米オープンの歴史を語ることはできない」と、00年のペブルビーチ大会では2位に15差をつけて勝利、08年のトーリーパインズでは骨折した脚で計19ホールのプレーオフを戦った偉業をたたえた。

 USGAはこれまでベン・ホーガン、アーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス(全て米国)ら多くの特別招待を実施してきた。1990年は特別招待で出場したヘール・アーウィン(米国)がプレーオフを制して優勝を果たしている。94年には5人、00年は6選手も招待して批判されたこともあり、昨今はほぼ1〜2名、もしくはなしという年も珍しくはない。

 一部のLIVゴルフの選手からは「ウッズも予選会から出るべきだ」と非難する声もあるが、現在の足の状態を考えると一日で36ホールを戦う最終予選会は非現実的だろう。

 「ウッズが出場することで、さらに素晴らしい大会となる。特別招待を決めることは簡単な決断だった」とUSGAのチャンピオンシップ・オフィサーのジョン・ボーデンハマー氏。当のウッズは「メジャー16勝目を目指す」と勝利へのこだわりは失っていないから”2人目のアーウィン”が誕生、と期待を抱かせるのがウッズのすごさ。まずは16日開幕の全米プロで今季メジャー2戦目を戦う。(全米ゴルフ記者協会会員)