劇的な幕切れとなった。同点で迎えた9回裏。1死三塁から林孝介内野手(4年・いなべ総合)が放った打球が中前に抜けた瞬間、三塁ベンチの中部学院大ナインが一斉に拳をつき上げた。二塁打でチャンスメイクした三塁走者の榎田玲也内野手(4年・市和歌山)を本塁で迎え、サヨナラ勝ちに歓喜した。

 ヒーローの林は、第1打席で左中間への二塁打、2打席目は右前打と当たっていた。「ベンチのみんなが『きょうは孝介の日だぞ』と背中を押してくれたおかげ」と笑った。

 全国の切符を懸けた三つどもえの戦いは、いずれも3時間超えの熱戦だった。2試合目から登場した中部学院大は皇学館大との試合に勝利した直後、日大国際関係学部との連戦に臨んだ。3回に榎田の3ランで先制し、4回にも2点を加えて一時は5点リード。しかし、集中力が切れ始めたのか6回に3失点すると、8回に追いつかれた。

 ただ、接戦には自信を持っていた。今季4度のタイブレークを全勝していたナインは、「ビハインドじゃない。同点なら勝てる」。気合を入れ直した9回の攻撃で勝負を決めた。

 3季連続で東海地区王者に輝き、全日本の舞台には2年連続4度目の出場。昨春は2勝して初の8強入りを果たしたものの、準々決勝で青学大(東都)に7回コールド負けを喫した。「関東の大学を倒すつもりでチームづくりをしてきた。リーグと同じように一戦必勝で戦っていきたい」と林。昨年の自分たちを超える挑戦権は手にした。あとは、一つずつ階段を上る。