いよいよ「第91回日本ダービー」のファンファーレの時間が迫ってきた。堅い決着のイメージが強いG1だが、2018年には3連単285万超の特大万馬券が飛び出し、19年には12番人気のロジャーバローズが勝つなど穴党の出番も十分にあるレースだ。今年の競馬の祭典で波乱を演じるのはどの馬か―。東大卒獣医師記者としても知られる、東京中日スポーツ美浦担当の若原隆宏記者(45)と、自称中日スポーツきっての穴党の栗東担当の関俊彦記者(33)が注目の穴馬を語り合った。

調教の動きが文句なしのアーバンシック

 関「いよいよ今年も日本ダービーの日が来ましたね。皐月賞馬は強いですが、逆転の目を探すのも競馬の醍醐味(だいごみ)。若原さんは今年のダービーをどう見ていますか」

 若原「人気どころに逆らえる理由を見つけて逆らうのも穴党の仕事だけど、ジャスティンミラノもレガレイラも調教はけちがつけられないからなぁ。でも、人気どころと遜色ない動きをしている馬はいるからね」

 関「僕もその2頭は消せませんでしたが、何とか逆転候補を見つけたいです。調教の観点から若原さんの注目馬を教えてください」

 若原「アーバンシックだね。(最終追い切りでは)前駆をしっかり起こして腕節も高く引き上げていた。腰周りも厚く充実してシャープだったし、文句なしの動きだったよ」

 関「皐月賞は4着でも末脚は見どころ十分。百日草特別が鮮やかでしたし、府中は合いそうですよね」。

シンエンペラー、前走以上の活気

 若原「関くんの本命はシンエンペラーだね」

 関「矢作調教師が『今回は明らかに良くなっている』と。皐月賞前とは言葉のトーンが全然違うので、よほど状態がいいのだろうなと思います。調教も前走以上に活気がありました」

 若原「首は上がっていたけど、重心は浮いてなかったし、肩を目いっぱい引き出してストライドを稼いでいた。トモもすこぶる柔らかかったし、矢作調教師が『弾んでいた』と言うのも納得の動きだと思うよ」

 関「若原さんはダノン2頭にも注目していますね」

 若原「ダノンエアズロックは前傾低重心で、肩が柔らかく回っていたし、手前の変換もスムーズで滑らかに加速していた。ダノンデサイルはよれる面はあったけど、その後は軸も安定。腰がしなかやかだし、仕上がっていると思うよ」

 関「ダノンデサイルは気持ちを整えることに重きを置いた調教。確かに追い切りのタイムで軽視するのは危険ですよね」

 若原「ダノンデサイルは京成杯でレース中にボロ(ふん)を出したことで話題にもなったけど、ボロを出すってことは副交感神経が優位、つまりリラックス状態だったってこと。レースの流れの中でリラックスできてるんだから持ってるものは相当高いと思うよ」

 関「ダノンデサイルに印が回りきらなかったのを後悔しそう…。でも、サンライズジパングも不気味ですよ。皐月賞は病み上がりで9着でしたが、今回は生野助手が『僕が乗った中では一番の動き』と絶好調宣言。音無師にとってはラストダービーですから、何かドラマが起こりそうです」

 若原「あと調教からはゴンバデカーブースかな。舌を出していたのは気になるけど、前駆を沈めて肩をしっかり引き出していた」。

 関「ジューンテイクも面白そうです。使いつつどんどん強くなっていますし、立ち回りのうまさを生かせる内枠も良い。好調の武英厩舎の勢い込みで押さえたい1頭ですね。ちなみに僕も若原さんも青葉賞組はノーマークですが…」

 若原「青葉賞&プリンシパルS組がダービーを勝てないジンクスが統計学的には強固。そんなこと言ってジンクスが破られたら…。でもやっぱり勝ち切るまでは厳しいと思うよ」

 関「失礼ながら、ジンクス破られてほしい気持ちも…。どのレースも当てたいですが、やはりダービーはその中でも当てたいレース。レースが楽しみです」