スイングを練習するうえで、意外と決まらないのがアドレス。特に「下半身が安定するヒザの曲げ具合」と「リラックスした前傾姿勢」の適正範囲がどのぐらいなのか悩んでいる人も多いはずです。そこで、インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博(つつ・やすひろ)ヘッドコーチに、自分でチェックできる方法をレクチャーしてもらいました。
一番長いドライバーと一番短いウェッジのアドレスは何が違う?
ビギナーほど、アドレスでの「ヒザの曲げ具合」や「前傾姿勢」はどれぐらいがいいのか、自分の体に合った「適正範囲」が分からないといいます。
話は少し逸れますが、ドライバーとウェッジにはそれぞれライ角と呼ばれる角度があります。2つのクラブを持ち並んでアドレスを取ってみると、グリップエンドの位置は大きく変わらないことが分かると思います。
つまり「グリップエンドの高さ」自体は大きく変わらず、ライ角によって大きく「右手の位置」が変わることが分かるはずです。
練習時にドライバーから打つ人は非常に少ないと思いますが、ラウンドでは一番長いドライバーでスタートしセカンドショット以降に短い番手で打つという流れになります。
クラブのライ角も、長いクラブを打ったすぐ後でも、短い番手を「近しい姿勢」で打てるように工夫されているのです。
その理由も含め、今回はドライバーを基準に「ヒザの曲げ具合」と「前傾姿勢」の自分に合った適正範囲を知る方法をお伝えします。
個人差のある「ヒザの曲げ」よりも「ポケットの位置」が重要
体のブレを気にするあまり「下半身どっしり」を意識しすぎて、結果としてカカトよりお尻が出過ぎたアドレスを取っているアマチュアをよく目撃します。お尻の突き出たアドレスをすると、体の回転を伴うスイングの際に上下動などが大きくなってしまい、フェースの芯でボールを打つことが難しくなってしまいます。
また、身長180センチ以上のPGAツアー選手にはヒザの角度が深い人もいますが、170センチ未満の人が「形だけマネ」してもドライバーが振れない姿勢になってしまいます。
自分と身長に近いプロを見つけて、アドレスと比較してみることをオススメします。「ヒザの角度」ばかりに目がいってしまうかも知れませんが、「ポケットの位置」に着目してみると「足首の上」になっていることが分かるはずです。
パッティングのように体重移動やフットワークを使わない場合、「下半身どっしり」で動かないような姿勢でもいいのですが、肩や腰の向きを変えるスイングをする場合は「土踏まず」あたりに前後の重心がないとスムーズにスイングできないのです。
ポケットに手を入れて「触りながら」骨盤を前傾させる
個々のゴルファーが「自分にとって適正な範囲」を知る方法として、壁際でアドレスの姿勢を取ってみることもオススメです。
カカトを壁から数センチ離した位置で、「背骨のS字カーブ」に逆らわず真っすぐ立ってみましょう。この姿勢から骨盤を前傾させたいのですが、最初は難しいのでポケットに手を入れて「実際に骨盤を触りながら」傾けてみましょう。
わざわざ「ヒザを曲げよう」や「下半身をどっしりしよう」などと思わなくても、骨盤を前傾させるとヒザがクッションの役目を果たすために少し曲がります。
ツマ先体重でもカカト体重でもなく、土踏まず辺りに前後の重心を感じられて「背骨のS字カーブ」をムリに真っすぐにしないアドレスができれば、腰への負担を軽減したスイングがしやすくなるはずです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。
猿場トール