定年退職をするまであと数年となり、老後資金に不安がある、または老後資金が足りなくなることを今から懸念する人もいるのではないでしょうか。できれば定年退職後も働きたいけれど、60歳を過ぎてからの再就職がうまくいくのか、そもそも働く人はいるのかといった疑問を持つ人もいることでしょう。   本記事では、定年後も働く人の割合はどのくらいなのか、定年後も働く人の平均収入、定年後の仕事にはどんなものがあるのかを解説します。

定年後も働く人の割合はどのくらい?

 
株式会社カケハシ スカイソリューションズ(東京都新宿区)が実施した「定年後の仕事とお金の実情を1100人に独自調査」(調査時期:2023年2月)によると、定年退職後に働いていますかの質問に対し、働いていると回答した60代は全体の66%とのことです。そのうち、再雇用で働いている人は36%、再就職して働いている人は20%、再雇用で働いた後に再就職した人が6%、起業した人が4%でした。
 
年代別で見てみると60〜64歳の78%が働いており、回答結果の内訳は図表1の以下のとおりです。
 
【図表1】

60〜64歳(n=429) 65〜69歳(n=298)
再雇用で働いている 51% 21%
再就職して働いている 20% 19%
再雇用で働いた後に再就職した 3% 10%
起業した 4% 4%
働いていない 22% 46%

※株式会社カケハシ スカイソリューションズ「定年後の仕事とお金の実情を1100人に独自調査」より筆者作成
 

再雇用で働く人が多い

 
図表1によると、定年退職後の働き方としてもっとも多いのは再雇用で、60〜64歳では51%、65〜69歳では21%です。定年退職後も今の勤務先での就業を継続したいのであれば、再雇用は可能なのかを早いうちから確認しておくとよいでしょう。
 
雇用形態については、60代全体で見ると正社員が27%、嘱託・契約社員が44%、パート・アルバイトが20%、自営・フリーランスが7%、その他が2%でした。年代別の結果は図表2のとおりで、60〜64歳、65〜69歳ともに嘱託・契約社員として働く人が多いです。
 
【図表2】

60〜64歳(n=429) 65〜69歳(n=298)
嘱託・契約社員 49% 37%
正社員 29% 22%
パート・アルバイト 14% 29%
自営・フリーランス 6% 9%
その他 2% 3%

※株式会社カケハシ スカイソリューションズ「定年後の仕事とお金の実情を1100人に独自調査」より筆者作成
 

定年後も働く人の平均収入

 
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」では、図表1のように定年退職後の年齢と想定できる60〜64歳、65〜69歳の平均給与を伝えています。
 
【図表3】

男性 女性
60〜64歳 569万円 267万円 441万円
65〜69歳 428万円 227万 342万円

※国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」より筆者作成
 
図表3の平均給与は業種を問わないもので、どの業界で働いているかによって実際の収入は異なる部分です。
 

定年退職後の人が採用されやすい仕事

定年退職後に再就職先を探す場合、採用されやすい仕事の一例は以下のとおりです。

●警備員
●清掃員
●ハウスクリーニング
●マンション管理人
● 組み立てなどの軽作業(倉庫や工場など)
●ドライバー
●観光ガイド
●家事代行
●調理補助
●ベビーシッター
●コールセンター
●伝票整理やデータ入力なども含む事務職

興味のある仕事や資格を生かせる仕事はもちろん、体力的にもスケジュール的にも無理のない働き方を選んでみてください。
 

定年後も自分に合った方法で働いて収入を得よう

 
定年退職後は働かずに、年金で生活する生活を選ぶ人もいるでしょう。老後の生活を豊かなものにしたいなどの理由で、働けるうちは働きたいと考えるのであれば、現在の勤務先で再雇用してもらえそうか確認しておくとよいでしょう。
 
ただし、収入を増やしたいがために労働時間を長くした、慣れない仕事ばかりで精神的負担が大きいとなっては、収入を得るどころか体調悪化のリスクが高まります。再就職する際には、自身のスキルを生かせるものや無理なく働ける方法を選びましょう。
 

出典

株式会社カケハシ スカイソリューションズ 定年後の仕事とお金の実情を1100人に独自調査
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー