高齢者になると、活動量の減少や消化機能の低下などにより、一般的に食が細くなる傾向があります。また、1食減らした方が節約になると考えて、1日の食事を3食ではなく2食しかとっていないという高齢者もいるようです。   しかし、2食に減らすと3食に比べて栄養のバランスがとりにくい面があることから、身体によくないのでは、と心配するご家族もいるでしょう。   この記事では、一人暮らしをしている70代女性を例に、高齢者が食事を1日3食から2食に減らした場合の食費について、また2食にすることに問題はないのかについて解説します。

1ヶ月の平均的な食費はいくらぐらい?

総務省統計局の「家計調査 家計収支編」(2023年)のデータによると、女性65歳以上の単身世帯では、1ヶ月あたりの平均食費が3万9362円となっています。食費のなかで支出が多い品目は、調理食品、野菜・海藻、菓子類、魚介類、外食です。
 
調理食品とは、一般的に調理の全部、あるいは一部調理済みの食品で、冷凍食品やレトルト食品、スーパーやコンビニで売っている惣菜や弁当なども含まれます。
 
また、65歳以降の年代は、ほかの年代の女性よりも外食にかける金額が少なくなっており、もっとも金額が高い34歳以下の年代と比較すると、およそ4分の1になっています。
 

1日2食にした場合の節約額はどのくらい?

家計調査の1ヶ月の食費の平均から、単身65歳以上の女性の1日あたりの食費を算出すると約1312円です(1ヶ月30日で計算)。
 
1回あたりの食事の内容を変更せずに3回の食事を2回に減らすケースを仮定すると、月間の食費は約2万6241円、1日あたりの食費は約875円となります。1ヶ月間あたりの節約額は約1万3121円、1年間で換算すると約15万7452円です。
 
ただし、食事の回数を減らしても、食事1回あたりの量や品数が多くなったり、間食が増えたりすれば、あまり食費の節約ができないケースも考えられます。
 

1日2食でも健康上の問題はない?

3食を2食にする際には、カロリー不足や栄養の偏りなどの食事の内容についてよく考えることが必要です。
 
とくに高齢者の場合、タンパク質やビタミン、ミネラル、カルシウムなどの不足は、筋肉量の減少や骨粗しょう症などの原因になる可能性があります。また、食事の回数が減ると血糖値が急上昇しやすくなり、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まるといえます。
 
食事は主食・主菜・副菜をバランスよく組み合わせ、低栄養状態にならないよう、安全で無理のない食生活にすることが重要でしょう。
 

1日2食にすると年間16万円近くの節約になることも! ただし健康面でのリスクがある

1日の食事を3食から2食にすると、平均的な金額内でおさめれば計算上は年間で約15万7452円の節約につながります。
 
しかし、2食にすることで低栄養状態になったり、大きな病気を患ったりした場合、健康面でのリスクが生じる可能性があります。ご自身や親御さまだけではなく、専門家の話を聞いてから健康面のリスクについて判断しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 第2表 男女、年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出
総務省統計局 家計調査 収支項目分類 収支項目分類及びその内容例示(令和2年(2020年)1月改定) 2消費支出 1.9調理食品
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー