大井川鉄道が、2022年9月の台風で大きな被害を受けた路線を見学するツアーを開催している。鉄道乗車がメインではなく、不通区間を実際に歩く異例の企画だ。参加費は1人2万8000円で、その際に着用する特製ヘルメットが記念品となる。11日は37人が参加し、18日は定員45人に達して完売となっている。

 大井川本線(39・5キロ)の半分にあたる川根温泉笹間渡―千頭間が、いまだに不通。全線復旧には約22億円かかると試算され、3月には県を中心とした検討会で「早期における運転再開を目指す」という方向性が確認された。ただ、復旧時期は決まっておらず、再度被害が発生した際の対応策も固まってはいない。

 そんな状況下、同社では不通区間の現状や、全線再開に対する思いを伝える機会として開催にこぎつけた。貸し切りバス手配などのため、決して安くはない料金となったが、同社担当者は「2回合計で80人超は予想以上でうれしい誤算です」と関心の高さに驚いていた。