トヨタと中国第一汽車集団の合弁会社「一汽トヨタ」は2024年6月2日、7シーターSUV「クラウンクルーガー」の改良型を公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。

中国専売「クラウン クルーガー」2024年モデル、広東香港マカオモーターショーで発表

 2024年6月1日に開幕した「広東-香港-マカオモーターショー」にて、トヨタは新型「クラウン クルーガー(2024年モデル)」を発表しました。
 
 日本では聞き慣れないクラウンクルーガーですが、どのようなクルマなのでしょうか。

 クラウンクルーガーは中国における「ハイランダー」の姉妹車として2021年に登場しました。

 ベースとなるハイランダーは2000年から2007年まで日本でも「クルーガー」として販売されたこともあるモデルで、現在は4代目モデルが販売されています。

 中国では第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」と、広州汽車との合弁会社「広汽トヨタ」のふたつを設けており、それぞれで中国向け車種の製造・販売をおこなっています。

 中国で日本の自動車メーカーが合弁会社を2つ以上有する場合は、それぞれの合弁会社から同じ車種を、デザインが少し異なる姉妹車としてリリースする傾向にあります。

 例えばトヨタは、「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」「グランビア/シエナ」などをそれぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開しています。

 ハイランダーの場合も同様で、標準のハイランダーを広汽トヨタが、デザインが少し異なるクラウンクルーガー(北米向けスポーツグレードと同じ顔)を一汽トヨタが製造・販売しています。

 中国における従来のセダン型クラウンは2020年4月に販売を終了しましたが、その後、1年のブランクを経たのちにクラウンの名前がクラウンシリーズ初のSUV「クラウンクルーガー」として復活しました。

 車体は基本的にハイランダーと同一なため、ボディサイズも同じ全長5015mm×全幅1930mm×全高1750mm、ホイールベース2850mmとなります。

 また、パワートレインに関しては2リッター直列4気筒ターボエンジンと、2.5リッター直列4気筒エンジンを搭載するハイブリッド車の2種類が用意されていますが、こちらもハイランダーとの差別化は図られていません。

 そんなクラウンクルーガーですが、2024年6月1日に発表された2024年モデルでは多くの点が進化しました。

 まずはグレードの構成ですが、2.5リッターハイブリッドのエントリーグレードにあたる前輪駆動「進取版」と四輪駆動「精英版」を廃止、前輪駆動の「豪華版」が新たなエントリーグレードとして設定されました。

 メーカー希望小売価格28.48万元(邦貨換算:約616.8万円)の「豪華版」が登場したことにより、価格帯は4.9万元(約106.2万円)ほど安くなったとアピールしています。

 また、装備面では主にインフォテインメント周りを強化しています。

 チップセットには新型カムリと同じクアルコム製スナップドラゴン8155を採用したことで、演算能力は以前と比較して約4倍の向上が図られています。

 センターディスプレイでは上位グレードは変わらず12.3インチのものを搭載しますが、下位グレードでは8インチから10.25インチのものへと拡大されました。

 これ以外にも、Apple CarPlay や百度 Carlife、ファーウェイ HiCarといったスマートフォン連携機能を新たに無線でも対応したり、スマートフォンの無線充電、ナッパレザーシート、木目調内装パネル、ステアリングの電動調整(一部グレードのみ)の新規採用、そして運転支援機能「Toyota Safety Sense 3.0」へのアップグレードなどが含まれます。

 ボディカラーは新たに「ダークブルーマイカ」を追加、ブラックやシルバー、ホワイトが中心だったカラーラインナップに彩りを加えています。20インチのアルミホイールにはシルバー塗装のものも加えられました。

 2024年モデルのクラウン クルーガーは2リッターターボが2グレード、2.5リッターハイブリッドが4グレードで構成されています。

 なかでも2.5リッターハイブリッドの「尊貴版」はグレード別販売構成で45%を目標にしており、売れ筋車種になることが期待されています。

 新型クラウンクルーガーの価格帯は28.48万元(約616.8万円)から33.28万元(約720.1万円)と比較的高価ですが、ハイランダーをベースにしていることもあってか高級車マーケットでは苦戦している印象です。

 今回発表された2024年モデルでは中国で重視されるインフォテインメント面での強化を強調しており、ここから巻き返しを図っていくものと思われます。