ゼネコン大手4社の2024年3月期連結決算は、公共投資の安定的な推移や民間設備投資の持ち直しを背景に全社が増収となった半面、資材価格や労務費の上昇に伴う建築工事の採算が悪化し、損益面では明暗が分かれる格好となった。本業のもうけを示す営業損益が増益となったのは鹿島のみで、大林組と大成建設が減益、清水建設は上場以来、初の赤字となった。

ゼネコン4社 2024年3月期

鹿島は建設事業が大型工事を中心に施工が順調に推移したほか、開発事業も国内外で増加し、売上高が前期比11・4%増の2兆6651億円となった。利益では建設事業の売上総利益が国内外で増え、国内の開発事業などの売上総利益も増加したことから、営業利益は2ケタの伸びとなった。

大林組は国内外の建築事業の進捗(しんちょく)などにより売上高が同17・2%増の2兆3251億円だった。一方で、人件費や研究開発費の増加などに伴って販管費がかさみ、営業利益は同15・4%減の793億8100万円だった。

清水建設は営業損益が246億8500万円の赤字(前期は546億4700万円の黒字)だった。国内の複数の大型建築工事で資材価格や労務費が想定以上に増えたことに加えて、工期順守のための追加コストが生じたことで採算が悪化した。純利益は前期比65・0%減と大幅減益ながらも、政策保有株の売却などが寄与し、171億6300万円の黒字だった。

大成建設は、売上高が同7・4%減の1兆7650億円、営業利益が同51・6%減の264億8000万円。受注は増えたものの、資材価格の高騰に伴いコストが膨らんだほか、工期に間に合わせるため労務費がかさんだ。

25年3月期は、清水建設を除く3社が増収を見込んでいる。建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫といったリスク要因に引き続き注意が必要となりそうだ。

ただ、工事採算の改善によって大林組、清水建設、大成建設の3社は各段階の利益が大幅に増加する見通しだ。