旭化成は子会社の旭化成ホームズが用いている施工管理システムを外販する。太陽光発電パネルの設置時にボルトの締め付け作業の品質向上・省力化に寄与するシステムで、ゼネコンや工務店、住宅メーカーなどへの販売を想定。2025年度の市場投入を目指し、今後、仕様などを詰める。

旭化成ホームズの施工管理システムは、独自開発したシステムを組み込んた工機ホールディングス製のインパクトレンチと、人工知能(AI)を用いたアプリケーションで構成される。レンチはボルト締結時に発生する超音波の変化を捉え、適正な締まり具合になると自動で停止して締め過ぎを防ぐ。

作業者はあらかじめ決めた箇所のボルトを締め終えると、アプリをインストールしたスマートフォンと接続したウエアラブル端末で「締め付け完了」と音声入力する。これに対しアプリが施工箇所などについて音声で質問し、返答することで施工済みの箇所を記録する。二つの機能を合わせることにより、いつ・誰が・どこのボルトを何本固定したかを記録できる。

同システムは旭化成ホームズが住宅の一部現場で採用しており、24年12月までに全国展開する計画。作業者の経験や能力による品質差が生じないほか、音声入力とすることで両手が空くため使い勝手がよく、作業者の負担を軽減できる。同社では全国展開後、社内で行っている施工状態の確認や検査の工程を減らす計画で、工数削減によるコストダウンも見込んでいる。

22年に同システムの試験運用を発表したところ、ゼネコンや住宅メーカー、電力関係などの企業から引き合いがあった。脱炭素に向けて太陽光発電設備の設置が増える中、パネル設置には数千―数万本に上るボルトの施工や品質確認が必要になる例もある。このため高い需要が見込めるとみて、外販の検討に入った。


【関連記事】 旭化成の「自動車用シート材」巨額買収、決断の裏に東レの存在