栃木県那須町で夫婦の焼損遺体が見つかった事件で、殺害の実行役のひとり、若山耀人容疑者(20)は将来を嘱望される子役であった。

 大手芸能プロのキッズ部門設立にあわせて2012年に行われたオーディションに母親が応募、当時9歳だった若山容疑者は「自分も仮面ライダーになれるかもしれない」と、当時の心境を語っていたという。

「14年のNHK大河『軍師官兵衛』では、主人公黒田官兵衛の幼少期を演じ、話題になりました。プロデューサーから『目がキラキラしている』と抜擢された役柄で、主演の岡田准一は『ピュアさをすごく丁寧に演じてくれた』と絶賛していました。とても生き生きとしていた印象です」

 そう、スポーツ紙放送担当記者は振り返る。

 その後も立て続けにドラマ出演を果たすが、18年を最後にプツリと表舞台から姿を消している。それから6年、死体損壊と殺人容疑で逮捕された若山はその首に入れ墨をのぞかせていた。

 俳優の黒田勇樹(42)は子役が売れやすい理由をネットメディアでこう語っていた。

「20歳までは学園ものがあるんですよ。子役として注目されていれば、特に訓練をしていなくても学園ものの仕事がどんどんくるんです」

 しかし、20歳を過ぎると仕事は激減。「大学を卒業した、しっかり勉強した新人たちが入ってくる。一気にふるいにかけられる」と続けた。

 今回の転落劇の裏に何があったのか明らかになっていないが、子役に詳しい某芸能プロ社長はこう言う。

「ほとんどがカネと勘違いで苦しみますね。カネでは、幼くして一丁前のギャラを稼ぐことで金銭感覚が狂い、またその稼ぎ目当てに、家族や親族不和を招くことも。最近は熱心なステージママから、レッスン代などと称して搾取するケースもあり、デビュー前から酷い目に遭わされているとも言えます」

 運よく売れても、「天才」などと持てはやされてテングになり、周りを見下し、礼儀知らずの裸の王様へと変貌してしまう。

「学校は早退や欠席ばかりで浮いた存在となり、勉強不足で当然ながら、学力もつかない。それでも売れ続ければいいのですが、子役のイメージが強ければ強いほど、成長とともに仕事は減って、干されてしまう。家族は崩壊し、親しい友達もできず、生活苦に喘ぎながら、何者でもない自分自身と向き合わなければならない。まともな、ごく普通の大人にもなれなかったというケースはそこここにありますよ」(前出の芸能プロ社長)

 グレて、さまよい、行きついたのが反社、「トクリュウ」こと匿名・流動型犯罪グループだったのか。カネ目当てに見ず知らずの夫婦の首を電気コードで絞めたり、ハンマーで殴ったりして殺害したとの容疑だ。逮捕された若山容疑者は凶行に及ぶまでの半生、自らの過去を振り返っているかも知れない。