Ritsuko Shimizu

[東京 9日 ロイター] - 日本製鉄は9日、2025年3月期(国際会計基準)の連結事業利益が前年比25.3%減の6500億円になるとの見通しを発表した。実需回復は現時点で見通しづらく、市況回復には時間を要するとしている。森高弘副会長兼副社長は決算会見で「対策効果の端境期で、収益的には正念場になる」と述べた。

在庫評価や一過性の利益の剥落などを除く実力ベースの事業利益は7500億円以上(前期は9350億円)を見込んでいる。

生産設備構造対策の事業再編損約1300億円の計上もあり、純利益の見通しは同45.4%減の3000億円にとどまる。IBESがまとめたアナリスト9人のコンセンサス予想4749億円を下回った。

単独粗鋼生産量は3500万トン程度(前期実績は3499万トン)と、前期並みを前提にしている。

中計計画最終年度となる25年度については、構造対策や設備投資の効果、海外事業の拡大により、実力ベース事業利益9000億円以上の確保に取り組む。加えて、USスチールの買収により、将来ビジョンとして掲げる1兆円の利益水準の早期達成を目指す。USスチールの税前損益は23年実績で年1520億円(10億4700万ドル)、21―23年実績平均で年4180億円(28億8300万ドル)。

24年3月期通期の事業利益は前年比5.1%減の8696億円だった。