Doyinsola Oladipo

[ニューヨーク 13日 ロイター] - 高級旅行を中心に取り扱う米国の旅行代理店によると、パリ五輪向けの需要はこれまでのところ低調にとどまっている。富裕層の旅客がパリを避けて欧州の近隣観光地を選んでいることが背景にある。

五輪開催地は観光客が急増することが多いが、旅行代理店によると、7月26日─8月11日に開催されるパリ五輪向けの予約は、それほど伸びていない。

フランス高級品ブランドのLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とカルティエは既に、五輪期間中はパリを避ける富裕層によってフランス国外でのビジネスが増えると期待していると表明している。

スペインのバレンシアを拠点とする航空券データ会社フォーワード・キーズによると、5月下旬時点で、米国は五輪期間中にパリに到着する便の航空券発券枚数が最も多い出発地となっている。米国発パリ行きの航空券は前年同期比37%増となる見通しだ。

こうした中、高級旅行代理店ビルトゥオーソの広報担当者は「確かにパリに旅行する人は見られる。だが(パリ旅行が)これ以上ないほど活況かと言えば、そうとは言えない」と述べた。

ビルトゥオーソによると、同社の夏のパリ旅行予約は前年比172%増だが、フランス全体の予約は同22%減少している。顧客はむしろ近隣のスペインと英国に集まっており、予約はスペインが同44%増、英国が同10%増になっているという。

マイアミを拠点とする高級旅行代理店ザ・プレリュードは、五輪のチケットやパッケージ旅行に関する問い合わせはあるが、予約はまだ入っていないと明らかにした。五輪開催までまだ時間があり、富裕層がそれほど先の計画を立てない傾向を考慮すると、6月中旬から下旬にかけて問い合わせが増えそうだという。

一方、フランスのホテルチェーン、アコーグループのセバスチャン・バザン最高経営責任者(CEO)は今月上旬にニューヨークで開かれた業界会合で、五輪期間中の宿泊予約は「異例」の高水準にはならないとの見方を示した。

バザン氏は「パリでは客室稼働率が85%になると予想されるが、五輪がなかった前年とそれほど変わらない。期待されたような異例の好調という状況にはならないだろう」と語った。