ブレーブスマルセル・オズナ外野手が8日(日本時間9日)、本拠地でのレッドソックス戦に「5番DH」で先発出場。第1打席で11号、第2打席で12号アーチを放ち、大谷翔平投手(ドジャース)を抜き去り、両リーグ単独トップに躍り出た。シーズン序盤とはいえ、本塁王レースが熱を帯びてきた。

■観客からは「MVP」コールの大合唱

8日(同9日)のマーリンズ戦に「2番DH」で出場した大谷は4打数無安打に終わり、本塁打数は「11」のまま。すると、オズナが2打席連発で一気に抜き去り、トップに立った。

初回2死一、二塁で迎えた第1打席。相手先発ニック・ピベッタ投手の外角直球を捉えると、打球は右翼席へ着弾した。先制の11号3ランを放って勢いに乗ると、3回2死の第2打席でもピベッタの初球を中堅左へ運び、12号ソロをマークした。

打点も38に伸ばして、こちらもメジャー全体トップ。「打撃2冠」となったオズナに対して、トゥルーイスト・パークの観客からは「MVP!MVP!」のチャントが贈られた。しかし、「ビッグベア」の愛称で知られる33歳の大砲は至って冷静。「今はうまくいっているかもしれないが、このレベルを保たなければならない。気を緩めてはいけない」と話した。

■ちょうど1年前は不振で放出候補

自分に厳しいコメントには理由がある。昨季オズナは最強ブレーブス打線の中核を担い、自身初の40本塁打を記録、打点も100に到達するなど活躍した。ただ、最終的に充実したシーズンとなったものの、序盤は最悪だった。4月を終えて打率.085、2本塁打、OPS.397という最悪の数字で、ファンからは盛大なブーイングを浴びて放出の噂も絶えなかった。

さらに成績以外でも問題が多かった。2021年には妻への暴行罪に問われ、逮捕。起訴は取り下げられたものの、20試合の出場停止処分を受けた。さらに翌22年には飲酒運転でまたも逮捕されている。コロナ禍で短縮された20年シーズンは18本塁打、56打点で「2冠」に輝いたスラッガーだが、昨季序盤の不振と2年連続の逮捕、さらに寄る年波もあってキャリアが危ぶまれる事態を経験。だからこそ、現在好調でも危機感が漂っている。

昨季5月以降から爆発し、今季もここまで絶好調。波乱万丈の選手生活を送る男が、大谷の前に立ちはだかることになるのか、注目だ。