コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、少女漫画家・猪狩そよ子さんの「まるめいと私」。本作は動物愛護チャリティ本「もふもふのほんと」(マンガハックPerry)に掲載されている1話で、本の売り上げの一部(収益)は動物愛護団体へ寄付されるという。

作者である猪狩さんが2月22日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、1.1万件を超える「いいね」が寄せられた。本記事では猪狩そよ子さんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。

■保護猫の里親募集掲示板で出会ったのは…

作者・猪狩そよ子さんは6年前、保護猫の里親募集掲示板を閲覧していた。そのときにひときわ猪狩さんをときめかせたのが、まん丸な目が印象的な「まるめ君」だった。猪狩さんはまるめ君の目と名前に一目惚れ。その日以来猪狩さんは、寝ても覚めてもまるめ君のことばかり考えるようになっていった。

あまりにまるめ君が気になったため、猪狩さんは猫好きの旦那さんに相談。すると、「だめもとで申し込みだけでもしてみれば?」と言われる。実際まるめ君には何件かの里親希望が寄せられていたが、漫画家である猪狩さんの在宅時間が長いところが評価されて里親になれることが決まった。保護主との面会当日、緊張気味のまるめ君と初対面を果たす。猪狩さんらは多頭飼いを希望していたため、まるめ君と「めいちゃん」の里親になることに決めたのだった。

待望の里親になれたものの、まるめ君もめいちゃんも野良生活の長かった成猫だったため警戒心が強い。猪狩さんご夫婦は2匹に寄り添いながら、少しずつ関係を築いていった。めいちゃんは比較的早く慣れてくれたが、まるめ君との関係は「亀の歩み」のように少しずつ距離を縮めていく。そんな時期が長かったため、まるめ君が初めて猪狩さんの足元にすり寄ってきた喜びは「今も忘れることはできません」と振り返っている。そして最後に「成猫ならではの良さ」を語り、「保護猫や捨て猫にも思いを馳せて欲しい」と締めくくった。

X(旧Twitter)には「凄く好きな出会い方」「成猫をお迎えすることの醍醐味が詰め込まれてました」「なんて素敵で、なんてリアルなお話し」「自分で飼えないからこそ、こういう話読むのは凄い好き!」「この人の描く猫めっちゃいいな」など作品への感想が投稿されている。さらに保護猫に対しても「元野良の成猫はいいぞ!!!!」「保護猫(雑種)サイコーにかわいい」「自分も最初に買うなら保護猫がいい!」「初めてお迎えするのに成猫はオススメ」などの声が投稿されている。

■「1匹でも多くの命を救うために保護猫・保護犬の存在を知ってほしい」作者・猪狩そよ子さんに漫画へのこだわりと保護猫の良さをインタビュー
――「ひとめぼれした保護猫を我が家に迎える話」を漫画にしたきっかけや理由があればお教えください。

「花とゆめ」で『LOVE SO LIFE』を連載していた、こうち楓先生が保護猫・保護犬愛護活動を支援するためのクラウドファンディングを立ち上げることになり、そのときに声をかけていただいたのがきっかけです。こうち先生にはアシスタント時代からずっとお世話になっており、まるめいたちのこともすごく可愛がってくださっていたので少しでもお役に立てればと思って筆を取りました。

――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。

こちらの本の発起人のこうち先生は大の動物好きだったので、こうち先生が楽しんでくれるようなマンガが描ければほかの動物好きの読者さんにも取り組みへの思いが伝わるはずだと思ってまるめいの可愛さが伝わるよう、猫のシルエットや表情に心を込めて執筆しました。雑種の猫の個性的な柄も描くのが楽しかったので、注目して見ていただけると嬉しいです。

――本作では猪狩さんご夫婦の努力が伝わってきました。保護猫を家族に迎えて大変だったことや嬉しかったことがあればお教えください。

猫はずっと小さい頃から家で飼っていたのですごく身近な存在でした。ですが、田舎だったこともあり、お恥ずかしながらずっと外飼いの状態でした。(それでも19年生きてくれた元気な猫でした。)
東京に出てきて、まるめいと出会って初めて「保護主さんから猫を引き取る」「完全室内飼い」「ペット可の賃貸物件の審査申し込み」というような対応をすることになったので、まるめいを迎えるときに改めていろいろと猫の飼い方について勉強し直しました。ずっと人懐っこい猫ばかり飼っていたので、こんなに人見知りのする子たちは初めてで最初は衝撃でした。

幸い私たち夫婦の場合は保護主さんが初心者の私たちにすごく気を配って下さって、お迎えからまるめいが慣れるまで定期的に連絡を取り合うことができました。何かあった際はその都度保護主さんに相談し、無理に抱っこしたりするなど過度なスキンシップは取らないようにして、向こうからやって来るのを待ちました。時間はかかりましたが少しずつ向こうから歩み寄ってくれるようになり、それからは今まで飼ってきた猫たちと同じように甘えん坊になってくれたのでとてもうれしかったです。人見知りの猫だからこそ、他の人には見せない甘えた姿を自分だけに見せてくれることが格別の喜びでした。

――改めてまるめ君とめいちゃんの推しポイントをお教えください。

まるめは名前の由来となったまんまるのおめめがとても可愛いです。びっくりした時も甘えてる時も色々な表情を見せてくれます。また、両前足に黒い模様があるのですが、こうち先生が「かしわ餅巻いてるみたい〜!」と言ってくださったことがあり、それからまるめの足を見るたびに「今日もかしわ餅巻いてるな…」とほっこりします。

めいちゃんは澄んだブルーの瞳がとても綺麗で、鳴くと口の中のピンクがちらちら見えてそのコントラストがとても可愛いです。毛色もあまり見たことのないうすい色合いの三毛で、我が家では「クリーム三毛」と呼んでいます。2匹とも雑種ですが、どちらも世界にひとつしかない個性的な柄でとても可愛いです。

――「保護猫を家族に迎えて良かった」と思われていることがあればお教えください。

本編でも触れましたが、まるめもめいちゃんも性格がある程度固まっている成猫だったので成長変化への対応に追われることがなかったので、こちらがどっしりと構えることができてよかったです。保護主さんが去勢手術やワクチンを済ませた状態で引き渡してくださったので、病院通いなどの回数も少なくて済み、慣らし中に外に連れ出さずに済んだので助かりました。保護猫を引き取るときは猫との相性だけでなく、緊密な信頼関係を築くことができる保護主さんを探すことも大切だなと思いました。

――読者の皆さんへメッセージをお願いします。

減少傾向にあるとはいえ、いまだに犬猫の殺処分数は年間1万匹を超えています。1匹でも多くの命を救うために、どうか保護猫・保護犬の存在を知ってほしいと思います。犬や猫を飼いたいと思ったらまずペットショップ……ではなく、近所で譲渡会をやってないかな?動物病院に張り紙がないかな?ネットで里親募集してないかな?というふうに選択の幅を持ってもらえたらうれしいです。個性あふれるへんてこな柄の雑種猫のかわいさをこれからも伝えるために、私も定期的に『もふもふのほんと』の取り組みを宣伝していきたいと思っております。この度は私の漫画を取り上げていただき、本当にありがとうございました。