中国の首都の北京市で、賃貸オフィスビルの空室率上昇と賃料下落が続いている。ビルオーナーは既存テナントの引き留めと新規テナントの勧誘に必死だが、それがさらなる賃料下落を招く悪循環に陥っている。

不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサールがまとめた2024年1〜3月期のデータによれば、北京市のAクラスオフィスビルの平均賃料は1平方メートル当たり月額287元(約6069円)と、直前の2023年10〜12月期より4.3%下落した。

過去13年で最悪の空室率

北京市のオフィス賃料は5年前の2019年をピークに下がり続けており、2022年から下落のペースが加速した。それまで様子見していたビルオーナーの間でも、賃料値下げを自ら顧客に提示する動きが相次ぎ、テナント争奪戦が過熱している。

背景には(需給バランスの悪化で)高まり続ける空室率がある。不動産サービス大手のサヴィルズのデータによれば、北京市のAクラスオフィスビルの空室率は2023年末時点で20.4%と、過去13年間で最悪を記録した。