自発光の有機ELにバックライトは不要。同事業の黎明期から関わってきたモーター・ライティング&センシング事業の志村宇洋本部長は「何か対策を打たなければ、事業がなくなる可能性もあった」と振り返る。

ミネベアミツミのモーター・ライティング&センシング事業・志村宇洋本部長(記者撮影)

バックライトはスマホのディスプレー裏側に配置し、LED基板から発した光を各種フィルムに通過させ、液晶を均一に照らす仕組み。当時の技術では、光源部分は画面の表示面積を削らねばならず、全域をディスプレーとして活用できる有機ELに劣っていた。

同社は、液晶パネルやLEDの国内メーカーなどとコンソーシアムを結成。共同研究で小型化を進め、上記の課題を克服した。北米メーカーは2017年発売のモデルで有機ELを採用したものの、翌年以降はしばらく機種のグレード別で液晶と併用していた。

だが、2020年からは基本的に有機ELで統一。現在は廉価版と旧型でのみ液晶を使用している。ミネベアミツミのスマホ向けバックライト事業の売上高は、全盛期の10分の1程度まで落ち込んでしまった。

車載用途で引き合い増加

このまま、かつての稼ぎ頭は消滅してしまうのか――。そこに待ったをかけたのが、車載向けの新たな需要だった。EV(電気自動車)の普及や車内電装の増加に伴い、計器類やルームミラーなどに液晶ディスプレーの採用が広がり、バックライトの引き合いが強くなってきたのだ。