実は、夜間の筋痙攣も脱水が原因のことが多い。そのような方には、経口補水液を毎日500mL、2〜3日続けて飲んで、症状が起きなくなるか否か試すよう説明している。ほとんどの方は症状が改善し、脱水が原因だったと判明することが多い。夜、寝る前に水を飲んでから寝る、夜中に喉が渇いたときに飲めるように枕元に水を用意している、というように用心している方でも、この対策は有効のことが多い。カギとなるのは水ではなく塩なのだ。

夜間でなくとも筋肉がつりやすい方も試してもらいたい。もちろん、何らかの基礎疾患があって通院しているような方は主治医の指示に従うべきだ。

経口補水液は、自分で作ることもできる。 1リットルの水に、塩を3グラムと、砂糖を40グラム溶かすだけ。レモン果汁などを加えると香りが良くなり飲みやすい。これを冷蔵庫で冷やしたり、ウイルス性胃腸炎で熱のある時などは温めて飲むといい。

普段は水や麦茶でいいが、人によって発汗で失われる水分や、食事で摂る水分量が異なるため、1日5〜7回ほどトイレに行き、かつ尿の色がレモン色か、それより薄いくらい、というのを目安にするといい。脱水だと尿の色が濃くなり、黄色からオレンジ色っぽくなるので、水分摂取量を増やすべきだ。

長時間ドライブに潜むリスク

長時間同じ姿勢をとっていると、足の静脈の中で血がかたまって血流が悪くなる血栓症が起きやすくなる。血栓がはがれて肺の血管に流れ込むと詰まり、肺のガス交換を妨げ、重症の場合は心臓に血が戻らなくなり、死に至る危険な病気だ。

遠出のドライブには血栓症のリスクがある。連休前は仕事が忙しく、食事もろくに取れなかったりして脱水になりがちだ。さらに旅行先ではお酒が普段より多くなり、これも脱水の原因となる。脱水は血液の粘り気を増し、血が固まりやすくなって血栓症のリスクを上げる。よって、血管内の脱水を防ぐため、ぜひ経口補水液を飲んでもらいたい。

経口補水液は渋滞で心配されるトイレ問題にも有利に働く。経口補水液のように塩分を含む飲み物は、水や麦茶を飲むより尿になりにくい。塩分のない水を飲むと血液が薄まり、体が反応して水分を尿として排出して平衡を保とうとする。経口補水液ではその反応が起きにくいので、その心配が少ない。よって運転時にも安心して飲んでもらいたい。

著者:久住 英二