文と写真⚫︎ユニット・コンパス

 日本はもちろん、世界的にシェアを拡大している電気自動車(EV)。グーネットマガジンでも「新車試乗レポート」や「グーEVテスト」で、注目モデルのレポートを都度発信しているが、となると次に気になるのが「実際に買って暮らしてみる」というテーマだ。そこで、編集部Oが実際に買って、いろんな状況で試してみることになった!

 第6回目は、ホンダeの電費をテスト。電費とは、ガソリン車における燃費のことで、1kWhあたり何km走れるか「電費=走行距離÷消費電力」という式で求める。

 グーネットマガジンでは、実際の使用状況を想定した走行パターンで電費をチェックすることで各モデルの得手不得手を検証し、読者の“EV選びの悩み”を解決することを目的とした連載「https://www.goo-net.com/magazine/?s=EV%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88」を実施。もちろん、ホンダeも過去に登場している。

 今回は「グーEVテスト」と同じ高速道路、山道、市街地という3パターンのコースを走行。電費だけでなく、電気自動車としての走りの個性に改めて向き合った!

 前回の記事はこちら▼ 

https://www.goo-net.com/magazine/knowhow/carlife/221946/

高速道路における電費は、ロングドライブでの使い勝手に影響する

〜高速道路は、行きと帰りで合計4つの区間を計測しました〜

編集部O「高速その1と高速その4が制限速度100km/hのハイスピードコースで、高速その2と高速その3は、制限速度70km/h。なるべく多くの距離を走ることでデータの信用性を上げようというねらいです。高速その1と高速その3は、渋滞区間があって加速・減速をしたおかげで電費に悪影響が出ていますが、https://www.goo-net.com/magazine/newmodel/testdrive/49953/と照らし合わせても、参考になる数値だと思います」

計測DATA:「高速その1」11:26〜12:06、「高速その2」12:49〜13:23、「高速その3」15:57〜16:34、「高速その4」17:08〜17:35

〜普段このように電費を意識して走ることはありますか?〜

編集部O「あんまり意識しないですね。基本的に1日に50kmくらいの距離を使っていて、家に帰れば充電できる環境です。ですから、電費よりむしろスポーツモードを使ったり、走行可能距離のなかでどう走るかという使い方をしています」

〜遠出をするときは、もう1台のプライベートカーを使うことが多い?〜

編集部O「そうですね。趣味のアウトドアに出かけるときは、荷物をたくさん積む必要もあるので、SUVを使うことになります。それでも過去にいちど、ホンダeで遠出をしたことがありました。そのときは事前に目的地までの距離を調べて、途中で急速充電を利用する計画で出かけました。でも、実際に走ってみると、冬場だったせいもあって、途中で走行可能距離が、なにかトラブルがあったら走りきれないくらいになったんです。帰り道の高速が渋滞していたので、渋滞の始まる手前のサービスエリアで急速充電しました。クルマ側の事情に行動が左右されるのは、電気自動車のデメリットだと思います」

1000km近い高低差のある日本有数の峠道「箱根ターンパイク」を走行

〜箱根ターンパイクは日本を代表する峠道ですが、実際に走った感想は?〜

編集部O「ホンダeでターンパイクを走るのは初めてだったので、まずそれが新鮮でおもしろかったですね。ワンペダル(https://www.goo-net.com/magazine/knowhow/carlife/209308/で解説)が想像以上に走りやすくて、運転そのものが楽しかった」

計測DATA:「上り」13:32〜13:49、「下り」15:36〜15:57

〜上り道では電費が2.2km/kWhと高速道路の1/3ほどに悪化しました〜

編集部O「走行可能距離がみるみるうちに減りました(笑)。一方で、電気自動車は加速力があるので、運転はしやすいし、制限速度で走り続けても車内は静かなので快適でした」

〜下り道はどうでしたか?〜

編集部O「下り道では回生ブレーキを使って速度を調整しましたが、どんどん走行可能距離が増えていく喜びがあった。これはまさに電気自動車ならではの体験だし、走るルートによっては思っていた以上の距離を走れるんじゃないかという発見がありました」

〜ガソリン車では大幅に走行可能距離が増えることはないので、それは電気自動車ならではの体験ですね〜

海老名SA上りの急速充電器にて2回目の急速充電。充電量は14.5kWhとなった

電気自動車のメインステージである一般道でホンダeの電費は?

〜一般道ステージは、郊外から市街地を抜ける約24kmのコースで、電費は6.4km/kWhした〜

編集部O「まさにホンダeが得意とするステージ。カタログ値のWLTC市街地モードが8.62ですから約74%の達成率です。道路環境や運転方法、エアコンの使用などに大きく左右されることを考えれば満足できる数字でした」

〜編集部Oさんがホンダeを購入したのは冬場でしたが、春になって電費の変化を感じますか?〜

編集部O「気温の影響は大きいと思います。同じように満充電にしたとしても、真冬は春より数割落ち込みます」

〜搭載するバッテリー容量があまり大きくないので、余計影響を感じるのかもしれませんね〜

編集部O「それはあるかもしれません。春や秋といった過ごしやすい季節は、人間だけでなく電気自動車も元気になりますね(笑)」

計測DATA:「一般道」17:36〜18:24

〜さて、すべてのテストが終わりました〜

編集部O「2021年5月に新車のホンダeアドバンスでテストを行ったときの高速の平均が6.57km/kWh、ワインディングの上りが2.1km/kWh、一般道が7.0km/kWhだったからことと比べると、電費にあまり大きな違いはなかった。タイヤの影響を別にすれば、中古車になっても性能が低下しないというのも電気自動車の良いところかもしれない」

〜今回改めて、200kmあまりのドライブを体験されてどうでした?〜

編集部O「下り道でエネルギーが回収できて走行距離が増えるというのは新しい気づきでしたね。今度の遠出は、ガソリン車ではなく、電気自動車で出掛けてみたいという気持ちになりました。とくに山道のあるところを走ってみたい。これまで道の高低差をあまり意識することはなかったから、意図的にそういうルートを設定して。一方で、山道の上りではかなり電力を消費することもわかったので、安全マージンをとっておく必要があることもわかりました。これも今回の気づきですね!」

今回のまとめ

・季節によって電費は大きく変化することを実感
・ワンペダルで走る山道の運転は楽しい
・道の上り下りで電力は減るだけでなく増えることも

次回予告

 同じ車種に乗る自動車ジャーナリストに会う!

編集部O プロフィール

自他共に認めるクルマ好き、キャンプ好き、ウインタースポーツ好きにして、気になることは徹底的に調べるのがモットー。今回は企画を成立させるために、ローンを駆使して自らEVを購入。これからEVにまつわる諸問題に体当たりしていきます!

著者:グーネットマガジン編集部