「スポーツ報知」では今季から、楽天の戦いぶりを毎月解析する新企画「マンスリー銀次」がスタート。昨季限りで現役を引退し現在は球団アンバサダーとして活躍する銀次氏(36)が、大型連敗をせずに粘り強く戦った3、4月について振り返る。(記録はいずれも4月30日現在)

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 3、4月は11勝14敗1分けの4位でした。カード勝ち越しが2つだけだった割には、粘って戦っていたのかなと思います。4位ではありましたが、いい順位にいるでしょう。この時期の1位と最下位はプレッシャーが大きいですから。4月中旬には則本、ターリー、荘司が体調不良で出場選手登録抹消。投の軸を欠きながら粘れたのは、大型連敗をしなかったことが大きいのではないでしょうか。

 その理由は、作戦面を一発で決められるところにあると思います。犠打はリーグトップの29。1点を取りにいくのはすごく大事なことで、送りバントがしっかり決まっている場面も多く見られます。バントを一発で決めると流れも来やすいし、選手もその努力をしてますよね。今季就任した今江監督の「送るところは送る、走るところは走る」という細かい作戦面は見ていて面白いです。

 ただ、先制された試合が20試合もありました。「また今日もか…」という感じになってしまうので、先制点は精神的にも重要です。そのためには好球必打。甘い球をしっかり1球で仕留めることが大事です。一方で相手投手に1球でも多く投げさせることも必要です。

 打撃ではいいところで浅村が打ってくれる(チームトップの14打点)し、島内も4月27日に69打席目にして今季初適時打を放つなど、ベテランの頑張りが光ります。若手では小郷が打率2割8分と好調。長打があり、足が速く簡単に三振をしないので、ピッチャーからしたら嫌でしょう。さらに辰己や小深田、村林が足を絡めています。小深田はリーグ・トップタイの8盗塁と、警戒されながらも勇気を持ってスタートを切れているのがいい。打率2割9分3厘と好調で、長打も打てる辰己が5月のキーマンになってくると思います。

 則本は抑えに転向して5セーブ。三振を取れ、バッターを圧倒する力も持っている彼の存在は大きいと思います。中継ぎから先発に転向した内もいい仕事をしています。シーズンはまだ序盤なので伸びしろばかり。野手では石原、投手では松田や内にはベテランにはない勢いがあるので、失敗を恐れず思い切ったプレーをしてほしいですね。

(アンバサダー)

  ◆銀次(ぎんじ=本名・赤見内=あかみない=銀次)1988年2月24日、岩手・普代村生まれ。36歳。盛岡中央高から2005年高校生ドラフト3巡目で捕手として楽天入団。09年オフに内野手へ転向。12年に1軍定着すると、13年は打率3割1分7厘で日本一に貢献し、14年と17年にはベストナインに輝いた。16年から選手会長を務め23年オフに引退。在籍は球団最長の18年。通算1240試合出場、打率2割9分、28本塁打、471打点。通算1239安打は球団の生え抜き最多。