内閣府が16日発表した2024年1〜3月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比0・5%減で、この状態が1年続いた場合の年率換算は2・0%減だった。マイナス成長は2四半期ぶり。認証不正問題に伴う自動車の出荷停止が大きく影響し、1月に発生した能登半島地震も押し下げ要因になったとみられる。 

 GDPの過半を占める個人消費は、前期比0・7%減で、リーマン・ショックの影響があった08年4月〜09年3月期以来となる4四半期連続のマイナスとなった。外食などサービスは1・0%増だったが、自動車を含む耐久財が12・2%減と大幅に減少した。設備投資も0・8%減と2四半期ぶりのマイナスだった。自動車の出荷停止が個人消費と設備投資の両方に響いた。

 「外需」も減少に転じた。自動車出荷停止などの影響で輸出は5・0%減で、4四半期ぶりの減少。輸入は天然ガスや原油が減り、3・4%減となった。輸出から輸入を差し引いた外需(純輸出)は成長率を0・3%分押し下げた。一方、輸出に分類されるインバウンド(訪日外国人)の消費は前期比で11・6%増。年換算の実額は実質6・5兆円で過去最高となった。 

 サラリーマンや公務員などが受け取る給与・報酬の総額を示す「雇用者報酬」は実質で0・4%減だった。 

 物価変動の影響を調整しない名目GDPは0・1%増で、年率換算は0・4%増。実額では599・0兆円となり、過去最高を更新した。

 同時に発表した23年度の実質GDPは前年度比1・2%増、名目GDPも5・3%増となり、いずれも3年連続の成長となった。

 林芳正官房長官は16日の記者会見で「特殊要因の影響もあってマイナス(成長)となった。来月から実施する定額減税などにより家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り出し、消費を下支えしていく」と述べた。【古川宗、山下貴史】