新垣結衣、早瀬憩のW主演映画「違国日記」が、 6月7日(金)より全国の劇場で公開される。このたび、本作の特別試写会が東京・飯田橋の神楽座で行われ、早瀬、小宮山莉渚、伊礼姫奈が同イベントに登壇した。

■「15歳のままでいていいから」監督の言葉に感銘を受けた早瀬憩

ヤマシタトモコの同名漫画を原作とする本作は、人見知りな小説家・高代槙生(新垣)と、その姪で人懐っこく素直な高校生・田汲朝(早瀬)という対照的な2人の同居生活を描いたヒューマンドラマ。互いになかなか理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに、2人は家族とも異なるかけがえのない関係へと変化していく。

エネルギー溢れる等身大の高校生を演じた3人が集まったこの日のイベント。朝を演じた早瀬は、「先日の完成披露は私にとって初めての舞台あいさつでもあったので、とても緊張していました。今日は同世代の3人(での登壇)ということもあって、イベントの前にも3人でお話をしていて、久しぶりに会ったとは思えないくらいずっと笑っていて。リラックスして挑めそうです」と意気込みを語る。

朝の親友・楢えみり役を演じた小宮山、朝と同じクラスの優等生・森本千世役の伊礼も「頑張ります!」と続いて3人で笑顔を見せ合うなど、冒頭から仲の良さが垣間見えるやり取りを展開した。

本作を手がけた瀬田なつき監督からの演出で印象に残っていることを聞かれた早瀬は、撮影当時役柄と同じ15歳だったことに触れつつ、「監督は『15歳のそのままでいていいから』と仰ってくださった。肩の力を抜いて、撮影に臨むことができました。監督はとてもフレンドリーで、優しい方。いつでも質問に答えてくださって、監督と悩みを共有できるのはすごく心強かったです」と感謝の気持ちを。

小宮山と伊礼が「体育館や教室のシーンが思い出深い」と話すと、早瀬は「実際に学校にいる感じで、わちゃわちゃと楽しく撮影ができた」と、2人と絆を育みながら楽しく過ごしていた撮影を振り返り、目尻を下げていた。

劇中で描かれる、10代特有の悩みに共感できることも多かったという3人。早瀬は「朝は自分に自信がないんですが、そこはものすごく共感できました」、小宮山も「10代の頃は、周りと比べがちだなと思います。本作からありのままの自分を受け入れて、一緒に色々な悩みを抱えながらも、それぞれが自分らしく生きていく大切さを感じました」と感想を。

伊礼は「やりたいことがあるのに、他人によって道を塞がれてしまうこともある。でも本作から、遠回りすることは自分の成長の材料になるんだと大切なことを教えてもらいました」と語るなど、10代の目線から見て本作から受け取ったものは多かったようだ。

■新垣結衣に羨望のまなざしを向ける早瀬&小宮山

演じたキャラクター同様に、大人への道を歩んでいる3人。「なりたい大人像は?」と聞かれた早瀬は、「周りを気遣える大人になりたいです」と回答。「それは、まさしく結衣さん」と共演した新垣にとても憧れていると打ち明けた。

1カ月ほどの撮影期間中はずっと新垣のそばにいたそうで、「結衣さんは『今、こう思っているでしょ』と私の思っていることを的確に言ってくれたり、周りのキャストやスタッフさんにも親切に接していて。今の私は自分のことでいっぱいで、周りが全然見えていなくて、突っ走っている感じだと思います。いつか結衣さんのように、周りを気遣えるステキな大人になれたらいいなと思います」と未来を見つめた。

それに対し、小宮山は「槙生さんは自分の意見をしっかりと持ちながらも、相手のことを理解する。共感はできないけれど、相手を理解して一緒に寄り添う人。そういった大人には憧れます」と、新垣が演じた槙生が“なりたい大人像”だと告白。

「えみりも槙生さんを憧れとして見ていたけれど、私も槙生さんに憧れます。新垣さんと一緒にお芝居をするシーンでも、真っ直ぐでステキだなと思うところがたくさんありました。自分もそういう大人になれたらいいなと思っています」と宣言。新垣に羨望の眼差しを向けた早瀬と小宮山は、「ステキな大人になろうね」と声をそろえて拳を握り、会場をほっこりとした空気に包んでいた。

そして伊礼は「食後に、温かいお茶やコーヒーを飲める落ち着いた大人になりたい」と発言し、会場も大笑い。「私はまだ、アイスやチョコレートとか甘いものを食べてしまう」とはにかむと、早瀬も「私もアイス」とにっこり。「コーヒーはもうすぐ飲めるようになる予定なんですが、まだ飲めなくて。今は甘いものです」と語っていた。

■「原作に忠実に」を念頭に、役作りに励んだキャスト達

また、3人が公式TikTokに集まった質問に答える場面も。「キャラクターを演じる上で参考にしたものは何ですか?」という質問には、3人全員が「原作」と前置きしつつ、早瀬は「原作に忠実にと思いながら、撮影前も撮影中も原作を読み込んでいました。結衣さんもそうなんですが、現場にも漫画を持ち込んで一緒に読んでいたりしました」と振り返った。

小宮山は、「えみりが、槙生さんに似た話し方をするセリフがある。そこは監督とお話ししたり、新垣さんの演技を見ながら『こういう感じで言っているんだ』と参考にしながら演技をしていました」と回想した。

自身の演じた役柄を「自分を持っていてかっこいいと思った」という伊礼は、「周りにいる自分の尊敬できる人を探して、『こういった人間ならば、かっこいいと思ってもらえるんだろうな』と一生懸命に想像しながら演じていました」と役作りの秘訣を披露していた。

■「中学生でも、もちろん楽しめる映画です」

中学生から届いた「中学生でも映画は楽しめますか?」との質問には、3人そろって「もちろん楽しめます」と即答。早瀬は「登場人物それぞれ悩みを抱えていて、学生特有の悩みだったりもするので、見ていて共感してもらえる部分があると思いますし、見終わった後だったり、見てる時に気持ちが前向きになれる映画だと思います」と、しっかり中学生の心も捕えるものになっていると太鼓判を押した。

さらに、「1番印象に残っているせりふ」という質問も。伊礼は「屋上のシーンで言った『無力』という言葉があるんですが、それは私たちが普段少し軽く口にしてしまうようなネガティブな意味ではなく、本当に千世本人ではどうしようもないことに対して使った言葉で“千世かっこいいな”と感じて印象に残っています」としみじみと語った。

小宮山は、「朝に『大嫌い』と言われてしまうシーンがあるんですけど、これまで私は言われたことがないのでこんなにも心が傷つくものなんだと知りました。そしてそれほどまでに相手を想っているということでもあるので、不思議な体験でした」と撮影を振り返る。

早瀬は、「大切なセリフはいっぱいあるんですけど、お葬式で槙生ちゃんが言った『たらい回しはなしだ』という言葉です。あのシーンは私が演技に苦戦していたのですが、結衣さんが槙生ちゃんとして存在してくれたからこそ乗り切れました。その後の撮影中も撮影が終わった後もそのセリフに救われています」と告白した。

最後に早瀬は、「このイベントを通して『違国日記』の魅力がより皆さんに伝わっていれば、嬉しいなと思います。この映画の魅力をご家族やお友達にぜひ伝えていただいて、1人でも多くの方にこの映画を届けることができたら嬉しいです」と心を込め、拍手を浴びながら3人は手をつなぎながらステージを後にした。