そのようなことも影響を与えたのか、総選挙の公認候補には、露骨なほどに「親李在明」系と言われる人々が選ばれた。検察官出身を含め、李代表が絡む刑事裁判で弁護にあたった弁護士5人も当選し、司法面での地固めを図ったとの見方が出ている。

執行部も李代表に近いメンバーで構成されるとみられ、党内の「李在明化」に拍車がかかりつつある。

他方で、多数の訴追という司法リスクがある李代表が今後、すべて無罪を勝ち取り、政治活動を続けることは難しいとの見方が支配的だ。党内外で偏向、不公平が叫ばれた公認選びの過程でも、水面下では妙な動きがあった。

最大野党代表も「面従腹背」の危機

李代表に批判的で、公認を得られなかったある現職議員は、離党したり、新党に合流したりせず、党内にとどまった。その理由をこう話す。

「党を私党化し、総選挙にも勝った李代表は、確かに今は栄華を誇っているが、いずれ必ず刑事裁判で失速する。その時までの辛抱で、公認が得られなかったのはむしろ幸いなこと。今は面従腹背の時だ」

政権や与野党が抱える数々の「リスク」のうち、どれが一番先にはじけるのか。時間との闘いが政局を大きく左右することになる。

著者:箱田 哲也