待望のバイク免許を取得し、これから友人や恋人などとタンデムツーリングを予定している人もいるでしょう。ツーリングする際走行する機会の多い道路として、高速道路のほかにバイパス道路が挙げられますが、バイパス道路はタンデム走行しても良いのでしょうか。

一般道と高速道路、バイパスの違いとは

 かつては高速道路での2人乗り、いわゆるタンデム走行は禁止されていました。しかし、平成17年4月の道路交通法の改正により、現在では条件付きで高速道路のタンデム走行は可能になっています。

道路交通法の改正により、条件付きで高速道路のタンデム走行は可能になっている
道路交通法の改正により、条件付きで高速道路のタンデム走行は可能になっている

 道路には、一般道と高速道路のほかに、バイパスと呼ばれる道路が存在します。バイパスは、道路が広く信号が少ないうえ、スピードを出しやすい特徴があります。そのため、高速道路と同じイメージをもっている人もいるかもしれません。一方で無料で通行できたり、法定速度が60km/hであったりと、一般道のような側面もあります。そのため、バイパス道路はタンデム走行しても良いのか、判断に迷っている人もいるかもしれません。

 では、そもそもバイパスとはどのような道路なのでしょうか。

 バイパスという言葉には「迂回する」という意味があり、道路のほかに医療や電気の分野でも使われることがあります。道路においてのバイパスの意味は、「もともとあった道路の迂回路」というのが一番しっくりくるかもしれません。

 都市部の人口増加などの理由で交通量が多くなって渋滞するようになったときに、バイパスを新たに併設して渋滞の解消を図ります。そのほかにも、山間部などの狭く曲がりくねったアップダウンの激しい不便な道路にも、新たにバイパスが敷かれることがあります。

バイパスの特徴としては、無料の場合がほとんどですが一部の道路では有料がある(写真:西湘バイパス)
バイパスの特徴としては、無料の場合がほとんどですが一部の道路では有料がある(写真:西湘バイパス)

 バイパスの特徴としては、無料の場合がほとんどですが一部の道路では有料です。また、法定速度は基本的に一般道と同じ60km/hですが、標識で指定されていれは最高速度が70km/hや80km/hの場合もあります。そして、一般道として造られたバイパスがほとんどですが、高速道路と同じような役割を担うバイパスもあります。このようなバイパスは、入口に掲げられている「自動車専用道路」の標識で見分けることが可能です。

 例えば、神奈川県の藤沢バイパスは一般道ですが、すぐ近くにある新湘南バイパスは自動車専用道路になっています。

 道路交通法には、一般的に「高速道路」と呼ばれる言葉の定義は存在しません。実は高速道路という言葉は「交通の方法に関する教則」の第7章(高速道路の走行)の冒頭で次のように記載されています。

「高速道路とは、高速自動車国道と自動車専用道路をいいます」

 また、「高速道路株式会社法」の2条2項でも同じような内容で定義されています。つまり、自動車専用道路の標識があるバイパスは高速道路と同じであり、それ以外のバイパスは一般道と同じという解釈で問題ないといえます。したがって、高速道路や一般道と同じように、バイパス道路もバイクのタンデム走行が可能ということになります。ただし、自動車専用道路なので125cc以下のバイクは、通行および2人乗りは禁止です。

 なお、自動車専用道路でないバイパス道路は一般道と同じなので、基本的に排気量による通行規制はありません。ただし、道路によっては原付や125㏄以下のバイクの通行を規制している場所もあります。通行する際は、入口に設置されている標識を見落とさないように注意が必要です。

都内の首都高では、排気量に関係なくバイクの2人乗りが一部の区間で終日禁止されている
都内の首都高では、排気量に関係なくバイクの2人乗りが一部の区間で終日禁止されている

 また、都内の首都高では、排気量に関係なくバイクの2人乗りが一部の区間で終日禁止されています。規制区間には「二人乗り通行禁止」の標識が掲げられています。うっかり侵入しないためにも、予めルートの確認をしておくとよいかもしれません。

タンデム走行をする条件とは?

 バイクのタンデム走行は、免許を取ったら誰でもできるわけではありません。タンデム走行をするには、さまざまな条件があります。知らずにタンデム走行をして違反キップを切られないように、自分が条件をクリアしているか確認しておくことが大切です。

 まず、バイクのタンデム走行をするには、二輪免許を取得してから通算で1年が経過していなければなりません。

高速道路でタンデム走行をするには、普通二輪免許または大型二輪免許を取得してから通算で3年が経過していなければならない
高速道路でタンデム走行をするには、普通二輪免許または大型二輪免許を取得してから通算で3年が経過していなければならない

 ただし、高速道路でタンデム走行をするには条件のハードルが上がります。普通二輪免許または大型二輪免許を取得してから通算で3年が経過していなければなりません。さらに、運転者の年齢が20歳以上である必要があります。仮に16歳で免許を取得して3年経過しても、年齢の条件がクリアできないので高速道路のタンデム走行はNGです。

 タンデム走行ができるバイクは、排気量が51cc以上のバイクです。高速道路では、126ccの排気量でなければなりません。これらの条件に当てはまらない50cc以下の原付は、いかなる理由があろうとタンデム走行は厳禁です。

 また、タンデム用のステップやグラブバーなどの同乗者用の装備がある、乗車定員が2名のバイクでなければなりません。同乗者の年齢制限はなく、免許も必要ありません。ただし、ステップに足が届く必要があるため、小さな子供を乗せるときは確認が必要です。

 ヘルメットは同乗者も着用が義務づけされています。なるべく安全規格をクリアした製品を選び、あご紐をしっかり締めて正しく装着するようにしましょう。

※ ※ ※

 バイパスは、法律上は高速道路または一般道と同じになるため、バイクのタンデム走行は可能です。ただし、タンデムする場合はさまざまな条件をクリアする必要があります。なお、全国にバイパス道路は数多く点在しています。これを機に大切な人を後ろに乗せて、バイパス道路を使ってのツーリングの旅に出かけてみてはいかがでしょうか。