ハコスカGT-R同様にレーシングスペックを与えられたZ。それがフェアレディZ432だ。当時の生産台数はわずか400台強。多くの個体が消えていった中、極上の状態で保管されていた個体を紹介。

豪華な仕様の432とスパルタンな432R

取材車両のZ432は、Z432Rをイメージしてフロントフードがブラックでペイントされている

’69年に登場するフェアレディZは、デビュー当初からSOHCのL20型と、スカイラインGT-Rに搭載されたDOHCのS20型という2種類のエンジンが用意された。このS20型を搭載したのがZ432だ。

取材車両はボンネットをブラックペイントしているが、通常はボディカラーと同じになるため、フロントからはZ432Rのように見える

Z432は、4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトを意味し、気筒あたり4バルブの本格的なツインカムエンジンを誇ったネーミングだった。GT-Rと同じエンジンを搭載しながら、Z432はフラッグシップモデルとして豪華な内装をもつため、レース用に軽量化が施されたZ432Rが別に用意されたのがGT-Rと大きく異なる点だ。

リアビューは縦2本出しのマフラーとリップスポイラー左端の432エンブレムで判別する

GT-R同様に排ガス規制の問題で、’73年に生産は打ち切られ、総生産台数は400台強と非常に少ない。取材車両はプリンスガレージかとりが所有するごく初期に生産された’70年式モデル。ホイールは当時オプションで用意されたマグホイールのレプリカを履く。

サイドビューは、フロントフェンダーに備わる432エンブレムで判別が可能となる ミラーはブラック塗装の砲弾型 初期のリップスポイラーは、フロント側に2箇所突起があるのが特徴 リップスポイラー後部右側にはFairlady Z、左側に432のエンブレムが装着される 縦2本出しのマフラーは432の大きな特徴 ホイールは当時432にオプション設定されていたマグホイールのレプリカを履いている

1970 NISSAN FAIRLADY Z432(PS30)|ブレーキブースターが標準装備モデルのディテールを詳しく拝見!

SOHCのL20型と比べると、DOHCのS20型はヘッドカバーが大きいのが特徴だ。

GT-Rがブースターレスだったのに対し、Z432にはブレーキブースターが標準で装備される。

キャブレターはソレックスを3基装着する。

ラジエターファン上部には短いプロテクターが備わる。破損してしまうことが多いパーツ。

取材車両はZ432Rに標準装備されたオイルクーラーを装着している。

ダッシュ周りは基本的にL型搭載モデルと変わらないディテールをもつ。

タコメーターは7800rpmからレッドゾーンで、10000rpmスケールとなる。

3連メーターは水温&油圧、電流&燃料、時計。

トランスミッションは5速マニュアルでとなる。ラジオは標準装備される。

ドアパネルは他のモデルと基本的に変わらない。ドアオープナーが着座位置に合わせてかなり低い場所にある点に注目。

シートも基本的に他グレードと共通。側面のヒンジはブラックとなる。

この個体はリアストラット周囲も新車同然の綺麗な状態を維持している。

リアウインドーの熱線が縦に入り、ガラス後部にベンチレーション用のスリットが備わるのが初期モデルの特徴となる。そのためZエンブレムはベンチ機能をもたない。

リアゲート裏側にもスリットが入る。

【SPEC】
●全長:4600mm ●全幅:1625mm ●全高:1390mm ●ホイールベース:2615mm ●車両重量:1190kg ●エンジン形式:L20E型(直列6気筒SOHC) ●総排気量:1998cc ●最高出力:130ps/6000rpm ●最大トルク:17.0kg・m/4000rpm

【DATA】
プリンスガレージかとり
〒287-0023 千葉県香取市伊地山23 (東総有料道路沿い)
TEL:0478-58-1223
営業時間:10:00〜19:00
定休日:火・水曜日

※情報は取材当時のものです。

(出典/別冊Lightning Vol.225「VINTAGE AUTO 現存ヴィンテージカー」)

著者:Lightning 編集部