物価の上昇を反映した「実質賃金」が、過去最長の24カ月連続で前の年よりもマイナスになっています。歴史的な円安が続くなか、賃上げの効果がいつ実感できるのか取材しました。

■「実質賃金」マイナス過去最長

 9日、厚生労働省が公表した毎月勤労統計によると、「実質賃金」が24カ月連続の減少に。今年の春闘では“歴史的賃上げ”が実現しましたが、実際にどれだけ実感できているのでしょうか。

30代 建設業
「(Q.給料はどうですか)徐々に上がってるかな」

20代 サービス業
「給料は上がってない」

20代 営業・建設業
「(Q.物価の上昇に給料の上昇は)追い付いてない」

 給料アップした人もいれば、変わらない人も。

 総務省が発表した最新の3月の家計調査で、2人以上の世帯が消費に使った金額は1世帯当たり31万8713円。実質消費支出が前年同月比で1.2%減少していて、消費支出が13カ月連続の減少です。

 総務省は、賃金の増加が物価の上昇に追い付いていないと分析していて、消費者も今の物価高をうけ、食料の買い控えも続いています。

 都内にあるスーパーの店内を見てみると…。

来店客(60代)
「食品とか、今までと同じに買っても値段が上がっているので、前は3000円くらいで大体買えたのに、今は4000円くらいになって、あれ?って」

来店客(40代)
「食材(の値段)が上がっているのに給料が上がっていないから、食材を抑えるしかないですよね。野菜でおなかをいっぱいにするみたいな」
「1つ買うよりもカットして小分けしてもらった方が安価で買えるので」

 「カット売り野菜」を活用するなど、どの家庭でも食費を抑えるための“節約”を行っているといいます。

 スーパー側も…。

アキダイ 秋葉弘道社長
「カットの野菜がよく売れたりだとか、ちょっと高いから1回の買い物の金額を減らすために少し小さい野菜が売れたりというのは現状あります。メインのものを少し小さくしたりとか、単価を抑える努力をしたりとか」

 これまで、まるごと一玉で売っていたキャベツをカット売りすることで売り上げ数が急増。さらに…。

秋葉弘道社長
「特売日とかの期待度が非常に高くなっている。以前だとオープン前に100人ほどお客様が並んでいたが、最近は200人ですよ」

来店客
「買い物の回数を減らしている。1週間に1回、土曜日にここに来て。アキダイさんが安いので、まとめて買うように」

 円安による影響で輸入食品が高騰し、外国産の肉は2割から3割ほど値上がりしています。アメリカ産牛肉については現在、仕入れをほとんど止めているといいます。

■物価高の逆風…賃上げの実感はいつ?

 電気・ガスについても懸念が。現在、行われている「電気・ガス料金に対する負担軽減策」が5月使用分で終了。標準家庭で、合わせて1カ月1850円分、負担が増えることになります。

 果たして“歴史的賃上げ”の効果はいつ実感できるのでしょうか。

野村総研 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英さん
「大幅な賃金は上がっているので、いずれプラスになると見えてきたが、一方で、すぐには物価上昇には追い付かない。プラスになるタイミングが後ずれしてきている。現状、年末あたり、前年比でプラスが定着していくと予想している」

 “年末あたり”と予想した、その理由は…。

木内登英さん
「ずっと円安が続いていて、ずっと物価上昇が続くと個人は消費を抑えてしまうので、実は円安で物価が上がるまでは時間差がある。平均すると半年ぐらいかかるので」