1匹の野良猫、庭に現る

くうちゃんは、2023年6月頃、Mさん宅の庭に突然現れ、毎日姿を見せるようになった。5匹の先住猫たちはくうちゃんを威嚇したが、日を追うごとに威嚇しなくなり、半年後には、庭にいるくうちゃんを友達のように眺めるようになったという。

Mさん夫妻は、ちゅ〜るを持って外に出て、くうちゃんに近づこうとしたが、なかなか人を寄せ付けず、威嚇して逃げてしまう日が続いていた。

しかし、辛抱強く接していたら、警戒しながらもちゅ〜るを舐めてくれるようになり、少しずつ確実に距離は縮まってきた。

「少しずつ心を開いてくれて。私も夫も可愛くてたまらなくなりました。でもカワイイからといってすぐ家に迎え入れることは出来ませんでした。なぜなら先住猫と上手くやっていけるのか不安だったからです。でも、先住猫たちもすっかりくうに慣れて、この子なら先住猫と上手くやっていける。そんな気がして、家に迎え入れる決心をしました」

2023年12月、Mさんがくうちゃんを抱っこし、窓際に置いたケージの中に入れて保護した。

最高の相棒

くうちゃんはお腹に虫がいたが、他は健康だった。食いしん坊なのと目の色にちなんで、くうちゃんと名付けたという。

保護から2週間後、Mさんは先住猫とくうちゃんを対面させた。くうちゃんはすぐにニャーニャー鳴きながらレオンくんに近づき、2匹は鼻チューしたり、お尻の臭いを嗅いだりして仲良くなった。ミルコちゃんとは1本のちゅ〜るを舐め合う仲に。ただ、ロッケくんだけは挨拶ができずにいた。

「窓越しには、ものすごく興味津々でくうのことを見ていたのに、対面させてもすぐには近寄らなかったんです。くうが歩くと後ろから距離を開けて尾行して、でも、くうが近づくと逃げてしまいました。3日後には一緒にいるようになり、添い寝するように。くうはロッケといると夜鳴きをしなくなりました」

くうちゃんは初めて見るキャットウォークに目をまん丸にして驚いていた。家猫生活1カ月目にやっと恐る恐るキャットウォークを歩いてみたくうちゃん。ロッケちゃんは、怖がるくうちゃんのそばにいて見守り、「怖くないよ」と言わんばかりにお手本も見せた。他の猫たちも、くうちゃんが高いところで困っていたら近寄ったり、お手本を見せて安心させようとした。

「家猫生活4カ月目にしてくうもすっかりキャットウォークに慣れ、今では毎日キャットウォークで散歩するのが日課になっています」

くうちゃんはどの先住猫とも仲が良いが、特にロッケくんとは仲が良い。

「時には喧嘩もしますが、すぐに仲直りします。毛繕いし合う姿を見ると本当に癒されます。最近は表情や仕草まで似てきて面白くて。お互い良い相棒が見つかって良かったです」

5匹の先住猫にくうちゃんが加わったMさん一家。いつも穏やかな時が流れている。

くうちゃんが家猫になるまでの動画はこちら。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)